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スポーツコラム「年中夢求」第25回
カギは「目標設定」と「回数をこなすこと」
栃木にできて鹿児島にできないことはない!

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 日本バスケットボールリーグ(NBL)の山谷拓志専務理事の講演会が2月20日、鹿児島市のパレスイン鹿児島であった。プロバスケットボールチーム・レノヴァ鹿児島の運営団体である県スポーツ振興センターが主催した企画で、バスケット関係者だけでなく、行政、メディア、企業関係者ら約50人が参加。「プロスポーツによる地域の活性化とバスケットボールの未来」と題した山谷氏の講演は、レノヴァをはじめとする鹿児島のプロスポーツをいかにして根付かせていくかについて、様々な示唆に富んでいた。

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 山谷氏は元々、NBL所属のリンク栃木の球団社長だった。07年にチームを立ち上げ、当時のJBL2からスタートし、2年目でJBLに昇格、3年目でリーグ制覇を成し遂げた。発足当初から決して順風満帆だったわけではない。「資本金600万円、トイレ共同の雑居ビルの事務所で3人からのスタートだった」。そんなチームが設立3年でリーグ制覇を成し遂げ、今では球団経営でもホームゲームは1試合平均約2600人の観客が集まり、年間約5億を売り上げ、黒字を出しているプロ球団へ成長した。そのベースにあるものがなんであったかが講演のテーマだった。
 一つは「目標設定」だ。山谷氏は設立当初から「5年以内で日本一」と目標を定めた。無論、確実にそうなる保証はどこにもない。だが目標と期限を決めたことで、どんなチームを作らなければいけないか、指導者、選手編成をどうするか、チームを運営するのにどれだけの売り上げをあげていかなければならないか…「目標から逆算して今やること」が明確になった。それらを一つ一つこなしていった成果が3年目の日本一につながった。
 もう一つ大事な要素は「数をこなすこと」と山谷氏は力説する。「一部上場企業が少ない」「県民は保守的」「プロバスケチームは栃木では無理」…栃木出身でもない山谷氏が最初にチームを立ち上げて、あちこちの企業、団体に営業で回っても「けんもほろろに断られる」のが関の山だった。「会場周辺の住民200軒回って2枚しかチケットが売れなかった」こともある。それでも掲げた目標をクリアするために、繰り返し数をこなしてチームの露出を増やし、あらゆる機会を使ってチームの存在を県内にアピールしていった。振り返れば栃木県は62年春のセンバツ甲子園で作新学院が優勝して以来、どのスポーツでも日本一になったことがなかった。「栃木から日本一のチームを作ろう」という山谷氏の情熱に賛同する人たちを徐々に増やしていった。
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 山谷氏の話を聞きながら、プロ球団の経営も、成功させるコツは他の業種の事業と何ら変わることはないということを痛感した。明確な目標設定を掲げ、それらを一つ一つクリアしていくために、地道な営業を繰り返す。特別な「特効薬」が存在するわけではない。
 もしかすると私たちの中には「プロスポーツとは、大きな企業やお金に余裕のあるところがタニマチ感覚でやるもの」という固定観念があるのかもしれない。「行政が大きな支援をしているチームはうまくいっていない」。Jリーグなど全国の様々なプロチームを分析して山谷氏はそう感じるという。「行政の支援」そのものが悪いわけではなく、「他力本願」になって自立する努力をしていないことに問題があると山谷氏は考えている。サッカーも、バスケットも、世界的にその商品価値が認められている「優良商品」だ。それを「どう売るか」の工夫をどれだけ球団がやっているのかが問われている。
 「行政が動いてくれない」「県民の理解がない」…そう嘆くのは簡単だ。では「どうすれれば行政は動くのか?」「県民は理解してくれるのか?」そこに知恵や労力を割くことに意味がある。栃木県は、テレビも新聞も東京発信であり、地元メディアの存在が希薄な土地柄だ。リンク栃木はそれを逆手に取り「チーム自体が媒体になって栃木をPRする」という逆転の発想を得た。「プロスポーツは大きなお金のかからない公共事業のようなもの。行政も『支援する』という発想ではなく、お金を出したのなら『使い倒す』ぐらいの感覚でプロスポーツチームを地域のために役立てて欲しい」と山谷氏は語る。
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 栃木も、鹿児島も、それぞれの県が持つ条件有利性、不利性に大きな違いがあるとは思えない。栃木にはJ2の栃木SCがあり、NBLのリンク栃木がある。一方、鹿児島は、ようやくサッカーでJFLという全国を舞台にしたリーグに参戦する鹿児島ユナイテッドができたばかりであり、バスケットのレノヴァはNBLの下部育成リーグを中々抜け出せていない。その違いや差がどこにあるのか、鹿児島に本気で地域密着のプロスポーツを根付かせたいと思う人間は考えなければならない。
 「鹿児島でも伊藤知事がPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)、官民協働をすすめていこうと表明している。サッカーの鹿児島ユナイテッドや薩摩剣士・隼人、鶴丸城御楼門再建などが該当する。レノヴァもその流れに入ってくればいいのでは」。
 講演会に参加した藤崎剛県議はアドバイスする。
 「山谷氏に挑戦するつもりでやっていく」
 県バスケットボール協会の鮫島俊秀理事長は、お礼の挨拶でそんな「挑戦状」をたたきつけた。栃木にできて、鹿児島にできないことはない。「取り組むべきこと」に大きな違いはないとすれば、あとは「やるか、やらないか」だけだ。

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テーマ:バスケットボール - ジャンル:スポーツ

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