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ベースボールコラム「球道夢現」第17回・下
「ネギの法則」の体現者
川崎宗則の進化

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 川崎が野球について語る姿や、練習に打ち込む姿は、自然体で楽しげだ。9年前、ホークス時代の宮崎キャンプを取材したときのことを思い出す。守備の基礎練習で、野球を始めたばかりの子供がやるような、素手でゴロ捕りを何度も繰り返していた。その姿は、まるで子供が大好きなテレビゲームに夢中になっているように、ストレスなく楽しげに見えた。「こんな守備の基礎練習が本当に楽しい。グラウンドで死んでもいいと思える」と語っていた。
 その一方で「死んでもいいと思えるぐらい」野球を楽しめるまでには、いろんな紆余曲折があったとも話していた。今回のトークショーでは、川崎をホークスにスカウトした池之上格さんや、入団当初、川崎が頼りにしていた先輩・内之倉隆志さん(鹿児島実高卒)もサプライズゲストで登場した。池之上さん、内之倉さんの話には知られざる川崎の苦労話も垣間見えた。

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 元々川崎が小学生で野球を始めた頃の憧れは内之倉さんらがいた時代の鹿実であり、本当は鹿実に進学したかったという。鹿実に進学できなかった時に「野球で初めての挫折を味わった」(川崎)。
 ホークス入団当初は身体の線も細く、1年目のキャンプについていけなくて「来年でクビになるかもしれない」と思ったという。高校時代、追い込んだ練習はしていなかったから「学校でいえば朝1限目から6限目まで野球の授業が続く」プロの世界は想像を絶するものがあった。精神的にも追い込まれた川崎をリフレッシュさせるために、当時の二軍監督が同郷の先輩・内之倉さんにお願いして食事に連れ出してもらったことも何度かあったという。
 誰もが一度は経験する「プロの壁」。ただ、スカウトの池之上さんは「1年目からクビを覚悟する選手も珍しい」と言う。高卒ルーキーなら1年目で結果が出なくても、2、3年は「育成」の感覚があるから、「クビ」とまで思う選手は少ない。裏を返せば川崎は、その時点で自分に何が足りないのかを的確に理解し、身体を強くしてプロの練習についていけるようにならないと、やっていけないという危機感を1年目から真剣に持っていたということなのだろう。「悩んでいたことも確かにあったけど、次の日グラウンドに出ると、何かを求めよう、究めようとする姿が必ず伝わってきた」と内之倉さんは述懐する。

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 トークショーや、テレビのニュースなどで陽気にはしゃぐ川崎の姿は、氷山の一角だ。あの華やかさ、粋でスマートな格好よさを出すために、人知れない挫折や並大抵でない努力を重ねたことが、氷山の下に隠れている。

 「人生にはストレスも大事。ストレスがない人生なんて糞くらえと思う」

 トークショーの中で私が最も印象に残った言葉だ。鹿児島工高時代は成績も優秀で、必要な資格などもきちんと取得した。勉強をしなければいけない、野球ができないストレスをためたことが野球に情熱を爆発させる力になったという。そのことを彼は「ネギの法則」と呼んだ。

 「ネギはストレスをかけると甘みが増す。人間もそれと同じですよ」

 この法則を体現し、野球選手としても1人の大人としても、実に味わい深い「ネギ」へと成長した。この先いつまでプロ野球選手としてキャリアを重ねていけるかは神のみぞ知るだが、また数年たって会うことがあれば、更に味わいが増していることだろう。次に「野球学・川崎教授」の授業を聞ける日が楽しみだ。

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テーマ:プロ野球 - ジャンル:スポーツ

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