昨季5位・富山とドローで勝ち点1

4452人のサポータが駆けつけ、鹿児島UのJ3デビュー戦を見守った=県立鴨池陸上競技場
サッカーの2016J3リーグ第1節は3月13日、全国各地であった。今季から初参戦となる鹿児島ユナイテッドFCは鹿児島市の県立鴨池陸上競技場でカターレ富山と対戦。両チーム無得点で初ゴール、初勝利は果たせなかったが、貴重な勝ち点1をものにした。
鹿児島UのJ3デビュー戦を見ようと、会場には4452人のサポーターが駆けつけた。昨季5位の富山に対して、鹿児島Uは序盤防戦一方の展開だったが無失点でしのぐ。後半は攻勢に転じ、相手を上回る4本のシュートを放ったがゴールを割れなかった。
鹿児島Uの第2節は19日、同会場で大分トリニータと対戦する。
◇第1節
鹿児島U 0-0 富山
(0-0、0-0)
鹿児島U

【鹿児島U―富山】後半28分、ヘディングシュートを放つ鹿児島Uの中原(右端)=県立鴨池陸上競技場
鹿児島のサッカー関係者、ファンが待ち望んだ日だった。昨季5位の富山を相手に初ゴール、初勝利とはいかなかったが、随所に鹿児島Uらしさを発揮し「悪くない試合」(浅野哲也監督)で勝ち点1をものにできた。
「歴史的な日」(浅野監督)という硬さも序盤はあり、ポゼッション力の高い富山に押し込まれ、前半は守勢の時間が長かった。流れは悪かったが「我慢する時間という共通認識ができていた」とMF新中剛史。新加入のGK山岡が的確な指示と積極的なフィードで安定感のある守備をみせ、CB水本らが身体を張って侵入を食い止める。ピッチの全員で集中した守備ができていた。「前半を無失点で切り抜けられたのが大きかった」(新中)。

攻撃にスイッチが入ったのは前半40分ごろだ。新中が奪ったボールを左サイドからMF中原、FW藤本とつなぎ、右サイドを駆け上がった右サイドバック冨成がシュートを放つ=写真=。ゴールは割れなかったが、初めて鹿児島Uらしい攻撃のかたちが作れたことで、スタンドが盛り上がり、選手たちに「戦える自信」が芽生えた。
後半は鹿児島Uが攻勢に転じる。プレスをかけてボールを奪い、一気に前に押し上げてゴールを狙う、鹿児島Uらしいサッカーで何度も得点機を演出し、観衆を沸かせた。前線にいる中原、藤本の新人コンビが再三得点機に絡んだ。「前半は藤本さんとの距離が遠かったので、もっと近くでプレーするよう修正した」と阿久根出身の中原優生。藤本が前線で抜群のボールキープ力を発揮し、中原が167センチと小柄ながら切れ味鋭い動きで果敢にシュートを放つ。残り4分で投入された屋久島出身の新人・塚田が左サイドを駆け上がり、絶妙のクロスをベテラン関がゴールの香りを漂わせるシュートを放ったシーンもあった。
J3でも十分戦える手ごたえはつかめた一戦だったが、浅野監督は「まだまだこんなところで満足してもらっては困る。勝ち点3が取れなかった以上、出来は50点」と手綱を引き締める。視察に訪れたJリーグの村井満チェアマンは「スタメンの6人が地元出身選手。地域密着を具現化する出色なチームになりそう」と全国53番目にJリーグデビューしたチームを評する。対戦した富山の三浦泰年監督はスタジアムの雰囲気も含めて「日本のサッカー界にとって大きな存在になりそうな空気感を感じた」と言う。勝利ではなかったが、鹿児島UがJの中で確かな存在感を示し、歴史的な一歩を踏み出した。
(写真提供・鹿児島ユナイテッドFC)
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