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スポーツコラム「年中夢求」第28回
「運動会」と「競技会」の良いとこどり!
「50mダッシュ王選手権」の成熟

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 3月27日、野球取材の合間に、隣の県立鴨池陸上競技場で開催されたNPO法人SCCが主催する「50mダッシュ王選手権」に顔を出した。
 「世代を超えたかけっこ勝負!」「かけっこの異種格闘技」のキャッチフレーズで始まったこの大会は、今年で15回目を数える。最年少1歳から最高齢89歳まで約250人が、鴨池のトラックで50mの真剣勝負を満喫した。


※熱戦の模様がフェイスブックでお楽しみいただけます!


 春の高校野球期間と重なるため、長いことご無沙汰していたが、久しぶりに大会を取材して、「誰もが気軽に参加できる市民短距離大会」(太田敬介理事長)が随分と成熟したことを感じた。
 「鹿児島マラソン」なども開催されたように「市民マラソン」は今や全国規模のブームだが、誰もが気軽に短距離を走れる大会はなかなか見当たらない。運動会の徒競走とも趣は異なる。
 野球やサッカーの俊足選手を「50m6秒を切る俊足」などと表現するのを見かける。それが本当なら100mを10秒台で走れるスプリンターだ。陸上選手とそんな俊足選手が実際にガチで走ったらどっちが勝つだろうか? そんな発想から15年前にスタートしたのがこのダッシュ王選手権だ。
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 距離設定50mというのが絶妙である。これが100mや200mなら本格的な陸上競技会になってしまって、一般の人は尻込みしてしまう。50mならかつて学校の体育で測定した人も多く、馴染みな感じがする。選手権のシステムもユニークで、ファーストステージは小学生、中学生、男女など一般の競技会のようにカテゴリー別に組分けてタイムを競うが、セカンドステージはファーストで出たタイムごとに再度組分けして、似たようなタイムの人と競うことになる。小学校高学年の男子と中学生女子、おじいちゃんと小学校低学年…いろんな世代の人同士でかけっこのガチンコ勝負できるのが、この大会の最大の魅力といっても過言ではない。15年前に大会がスタートした時から変わらないスタイルだ。

 私も13年前の第2回大会に出場したことがある。そのときはハートピア鹿児島のグラウンドだったが、今は鴨池の本格的な陸上競技場が会場になっている。参加人数は168人だったが、今回のエントリーだけは300人を超えていたから、13年前の倍近く参加者が増えたことになる。
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 今大会のパンフレットの参加者名簿をみて一番感じたのは2-60代の大人の参加者が以前に比べて格段に増えたことだ。「子供が走っているので、かつて短距離をやっていたお父さんも参加するというケースがあるようです」と太田さん。名簿の中に僕の中学の同級生と息子の名前を見つけた。熊本や宮崎など県外の参加者もいる。市民マラソンだけでなく、こういう大会にも大人が積極的に参加するようになったというのは良い傾向だと思った。
 今ではタイムの計測もタブレットのアプリでできるようになっていた。ITの進化もここまできたかと驚いた。フライングをしたら、本当の競技会は2回目で一発失格だが、この大会の場合は30センチ後ろにスタートラインを下げるというローカルルールになっている。

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 82歳の浜崎行雄さんはSCCのメンバーであり、マスターズアジア大会の三段跳びで金メダルを獲った「スーパーおじいちゃん」だ。ファーストのタイムは9秒1。「ひょっとすると幼稚園児とセカンドステージを走るかも…」と苦笑していたが、セカンドステージは小学2、3年生の男の子、2年生の女の子と40代の女性と同じ組。孫やひ孫の世代と一緒に走り、タイムは9秒0、見事一着でゴールして「面目が保てました」と笑顔で話していた。
 野球取材と並行していたので、いろんな世代のガチンコ勝負が見られるセカンドステージの前半は残念ながら見られなかったが、あとで太田さんがフェイスブックに挙げた写真を見ると、泣きながら親を追いかけて走る幼児がいたり、車椅子の参加者がいたり、かつて陸上選手だったころとは見違える体型になってしまったが、走るフォームはきれいでかつてのライバルと本気の勝負をする選手もいた。セカンドのレースでは男女、世代を超えた様々なかけっこレースの模様が伝わってきた。
 ちょうどクライマックスのダッシュ王を決める最終組の頃、再び観戦することができた。トラックのすぐ横で子供たちが大勢見守っており、何ともいえない緊迫感が漂っている。僅差の勝負を制したのは鹿児島情報高1年生の蓑茂愛光選手。タイムは6秒1だった。
 
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 晴天にも恵まれて、春の遠足のような陽気だった。競技場のあちこちで、シートを敷き、お弁当やお菓子を食べている家族連れを多く見かけた。これは一般の競技会ではまず見られない運動会のようなほのぼのとした雰囲気だ。一方で最終レースのときに漂った独特な緊迫感は、競技会の100mのような趣があり、これは運動会では味わえない。このダッシュ王選手権は、運動会と競技会の良いとこどりのような優れた大会だと思えた。
 もう長いこと長距離専門になってしまって、久しく短距離を走っていないが、来年はぜひ1歳3カ月になる息子と親子で参加してみたいと思った。

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テーマ:陸上競技 - ジャンル:スポーツ

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