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「頂点」と「地域密着」と(奄美新聞正月特集)下
出水体操クラブの挑戦
小さな練習場から始まった物語・下

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・子供たちと共に

 合宿する高校生8人に、地元の中学生6人、全国を目指すようないわゆる「選手コース」を圭成が受け持つ一方で、父・俊一は未就学の幼児や、小学生の教室を15年9月ごろから指導するようになった。


 還暦を過ぎて悠々自適のリタイア生活を満喫しようとしたが「何もしないのが逆に苦痛だった」。
 幼児は週1回、5、6人が参加する40分程度の教室が3コマあり、最年少2歳から小学1年生まで計30人が通っている。「教室」といっても特別何かを教えるわけではなく、ホッピングマットの上でジャンプしながら歩いたり、トランポリンの上で1分間跳び続けたり、ちょっとした「遊び」の延長だ。「ちーちゃん、いいぞ!」「けんちゃん、頑張れ!」…孫のような子供たちと俊一は一緒に遊ぶような感覚で接している。
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 原田岳君(5歳)、珀君(3歳)は兄弟で通う。きっかけは「お兄ちゃんが怖がりなところがあったので、積極性を持ってほしかったから」と母・明菜さん。男の子2人、家の中には思う存分暴れられる場がない分「ここには非日常的な楽しみがある」と明菜さんは感じている。
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 週1回10人の小学生が通う教室は、少し「難度」が上がり、柔軟体操から始まって、跳び箱やマット運動、前方宙返りなど体操競技の「入り口」のようなことにも取り組む。きちんと整列してあいさつすることから始まり、注意を守らなければ叱るなど、楽しさの中にもメリハリを利かせた指導を心掛けている。ピットやマットなど、安全には万全を期した設備にはしてあるが、ちょっとした不注意で大きな事故になる危険性は常にある。
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 「体を操る」と書いて「体操」と呼ぶように、自らを律し、コントロールする基本は、子供の遊びでも本格的な競技でも変わらない。これまで中学生以上しか教えたことはなかったが「子供から教わることがたくさんある。まだまだ自分自身も成長している」と俊一は感じている。

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 子供たちの教室を始めるようになって「この練習場が明るくなりました」と圭成。自身も経験したように、ここは全国を目指して己と向き合い鍛錬する場だった。その理念はこれからも変わらないが、地域の子供たちがやってくるようになって、新たな「生かし方」が見えてきた。
 14年から俊一が会長、圭成が理事長で出水市体操協会を設立。市民体育大会には体操も種目に加わり、ここを会場に競技会をする。市の総合型地域スポーツクラブの体操教室に圭成が指導に呼ばれるようになった。15年の「24時間高尾野ひまわり駅伝」では会場にホッピングマットを持ち込み、選手たちがアトラクションの模範演技をしたこともあった。
 「松本体操ジム」と呼んでいた名称を「出水体操クラブ」と変更したのも、より地元に密着し、地域に役立てる活動にしたいと考えたからだ。「もっと出水の人たちが気軽に立ち寄って利用してもらい地域に開かれた場にしていきたい」と圭成は考えている。

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 孫のような子供たちを夢中になって指導している俊一の表情は、幼い頃、大川内の山野で泥だらけになって遊んでいた少年時代を彷彿させる。考えてみれば、そうやって思う存分遊べるような場所自体が現在は少なくなった。身体を動かさなくなったといわれる子供たちも、この練習場に来れば、誰に言われるまでもなく鉄棒に登ったり、マットで転がったり、ピットに飛び込んで遊ぶことを楽しんでいる。
 体操の指導者として、第2の内村や白井のような選手がこの中から出てきて欲しい気持ちもあるが、それ以上に「どんなスポーツをやるにしても身体を動かすこと、汗をかくことの楽しさをここで学んで欲しい」のが一番の俊一の願いだった。

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テーマ:体操・新体操 - ジャンル:スポーツ

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2017/01/05(木) 00:39:21 | | #[ 編集]
Re: タイトルなし
最高の感想をありがとうございます。松本先生とは長い付き合いですが、現役選手時代の話を聞いたのは今回が初めてでした。鹿児島にもこんな取り組みがあることをいろんな人に知ってもらいたくて今回の特集になりました。こちらこそ、今後ともよろしくお願い申し上げます。
2017/01/05(木) 06:39:13 | URL | 政純一郎 #-[ 編集]
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