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甲子園レポート・神村、8強ならず!
神村無念! 延長12回逆転サヨナラ負け!
野球の醍醐味と怖さの詰まった一戦


 劣勢の展開を八、九回で追いつき、延長十二回で初めて勝ち越す。あのまま8-5で勝っていれば、間違いなく甲子園の鹿児島勢のゲームベスト10に入れてもおかしくない内容だったが、その裏二死から4点を奪われて逆転サヨナラ負け。誰よりもあのグラウンドにいた神村学園の選手たちにとって無念さもひとしおだったことだろう。



試合内容の詳細はこの文字をクリック!
 立ち上がりから劣勢の展開だった。
 初回、二塁打と2つの四球で無死満塁。4番・杉園大樹のライトフライを角颯真が好返球で刺し併殺、好守に支えられ無失点でしのいだ。それでも、先発の左腕・青柳貴大の調子が上がらず、三回一死二三塁となったところで2番手・中里琉星にスイッチ。だが3番の要注意の好打者・浜田太貴に外角低めの変化球を見事にライト線に弾き返され、2点を先制される。五回には3番・浜田にソロを浴び、打線も毎回走者を出しながらもつながりを欠き無得点。前半は耐え忍ぶ我慢の展開だった。
 六回、3番・田中怜央那のライト前タイムリーでようやく1点を返したが、七回裏に4番・杉園のタイムリーとエラーで2失点。自慢の堅守に初めてほころびが出て、この試合最大となる4点差がついた。

 このまま1-5で終わってもおかしくないような展開だったが、ここから神村打線がようやく本来の「らしさ」を発揮する。
 八回、一死から2番・羽月隆太郎が三塁打を放ち、3番・田中怜のライト前タイムリーで反撃の口火を切る。
 九回、先頭の6番・田中祐大がセンター前ヒットで出塁。二死二塁と後がなくなったところで、粘りの投球を続けていた9番・中里のところで小田大介監督は代打・南川翔哉を送る。前畑太壱と並んで「2人4番」の南川が土壇場で集中力を発揮し、センター前タイムリーを放ち2点差。それまで無安打だった1番・後藤拓真主将もセンター前ヒットでつなぎ、2番・羽月が内角球を鋭く振り抜いてライト線に二打席連続三塁打を放ち、同点に追いついた。
 テレビカメラは選手たちの表情を再三アップでとらえていたが、代打の南川、後藤、羽月、その後四球を選んだ田中怜…3点差、二死という追い詰められた状況にも関わらず、力みが全く感じられず、自分の仕事を淡々とこなすのみという集中力を感じた。初戦の京都成章戦の勝利からすっかり「守備のチーム」の印象がついてしまった神村だが、本来はこういったどこからでも点が取れる攻撃力が持ち味だ。つなぐ仕事はもちろん、長打も打てる羽月を私は「県内最強の2番打者」と評していたが、後藤、羽月と全国でもトップクラスにある1、2番の攻撃能力が終盤でようやく開花した。

 中里に代打が出たため、九回裏からは3番手・金城伶於がマウンドに上がる。県大会準決勝の樟南戦、一死満塁の絶体絶命のピンチを救った2年生右腕は、甲子園でもその実力を発揮した。勝負球は右打者の外角、球速100-110キロ台のスライダーで、これに130キロ台の直球と100キロを切る超スローカーブを生かした緩急が持ち味で「腕が振れているのに、思ったほどボールがきていないので、タイミングがとりづらい」とNHKの解説者が評していた。
 九から十一回まで3イニングを無失点で切り抜けると、十二回裏はヒット、連続四死球で二死満塁と絶好の勝ち越しのチャンスを作り、1番・後藤が意表を突くセーフティーバント。「バントの練習だけは毎日やっていた。相手の守備位置もしっかり見えていた」と後藤は言う。50m6秒を切る俊足を生かし、相手の悪送球も誘った走者一掃となり、初めてこの試合でリードを奪った。ただ打つだけじゃない、臨機応変に技を仕掛ける神村攻撃野球の神髄を見た。

 その裏、連続飛球で簡単に二死となり、9分9厘勝利を手中に収めたかに思われたが、ここからまさかの展開となる。連打と四球で満塁とすると、暴投で2点差となり、なお二三塁で9番・管大和にレフト前タイムリーを浴び、瞬く間に同点とされた。
 状況は二死二塁、何とか後続を絶って十三回の攻撃につなげたかったが、起死回生で追いついた明豊の勢いにのまれ、完全に浮足立ってしまった。当たっている1番・三村鷹人と勝負するのか歩かせるのか、あいまいなままピッチャー返しの内野安打を浴びて一三塁。この試合無安打の2番・琉尚矢は四球。この試合3打点と当たっていた3番・浜田は3球連続ボールで追い込まれた後、2球外角直球でストライクをとり、フルカウントにしたが、最後の1球、ほぼ同じ外角直球で勝負にいったがわずかに外れ、なぜか捕手・田中怜がミットごと落としてしまい、無念の押し出し四球で、幕切れとなった。

 振り返れば、連打を浴びた後から、マウンドの金城は腕が振れなくなっていたように思う。連打を浴びたところで伝令を送っていたため、伝令を使うこともできず、小田監督は満塁となった時点で一塁の前畑と三塁の守備についていた山田瞬太郎を入れ替えるなど、何とかして間をとろうとしたが、相手に傾いた勢いを踏ん張り切ることができなかった。
 残念な終わり方だったが「持っているものはすべて出し切った」(後藤主将)のも間違いない。大会前、投手力を勝ち上がるカギに挙げていたが、序盤にそこでリズムを作れなかったことも含めて、勝敗の分かれ目になった。泣き崩れる金城を支える小田監督や、背番号10を背負いながら登板機会がなかった2年生左腕・俵森大輔が泣き崩れているのを3年生が励ましている姿が印象に残った。

 鹿児島の3年生の夏はこれで終わったが、マウンドに上がった中里、金城、好守をみせた角、最強の2番打者・羽月…野球の醍醐味と怖さの双方が詰まった貴重な一戦を経験した2年生たちが中心になり、神村は更なる高みを目指すことになるだろう。再び県内に目を転じれば、2年生の好素材は各チームに点在する。週明けからは秋の県大会の前哨戦となる地区大会も始まる。3年生が残した「財産」を1、2年生の新チームがどう引き継ぎ、レベルアップしていくか、注目していきたい。

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テーマ:高校野球 - ジャンル:スポーツ

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