「伝統の一戦」投手戦を制す

第51回NHK旗争奪鹿児島県選抜高校野球大会最終日は5月30日、鹿児島市の県立鴨池球場で決勝があり、樟南が3年ぶり17回目の栄冠に輝いた。
決勝の顔合わせは樟南と鹿児島実。10年ぶりに決勝で対戦する鹿児島を代表する伝統校同士の対戦は、樟南・空地拓眞、鹿実・用皆峻、両エースの投手戦となり、互いにチャンスは作りながらも堅守でしのぎ合い、1点を争う好ゲームとなった。七回表無死三塁のピンチをしのいだ樟南はその裏、四球で出た走者をバントで送り、空地の右前適時打で先制点を奪うと、この1点が決勝点となった。
◇決勝(県立鴨池)
鹿児島実 000 000 000=0
樟 南 000 000 10×=1
(鹿)用皆―花園
(樟)空地―原口
・三塁打 小荒田(鹿)
樟南

樟南らしい粘りの野球で「伝統の一戦」を制し、3年ぶりに県大会を制した。
序盤から押し気味に試合を進めるも、相手の好守に阻まれなかなか先制点が奪えない。樟南もエース空地=写真=が低目を丁寧に突き、直球とフォーク、スライダー、チェンジアップなど緩急のコンビネーションを使い分けながら、バットの芯を巧みに外して打ち取る投球がさえ、緊迫した守り合いとなる。七回の攻防が明暗を分けた。先頭の鹿実・小荒田に両チーム通じて初の長打となる三塁打を打たれ、無死三塁のピンチを背負う。だが樟南バッテリーはあわてなかった。「落ち着くこと、低目を突くこと」を確認し、花園、宮前を二ゴロで仕留め、続く亀甲には直球で早めに追い込み、最後はフォークで空振り三振に打ち取ってピンチをしのいだ。その裏、四球で出た走者をバントで送り、絶好の場面を迎えた空地が「お前が決めろ!」の枦山智博監督の言葉通り、初球を右前にはじき返して待望の先制点を挙げた。勢いに乗った樟南は残る八、九回をいずれも3人ずつで打ち取り、完封勝ちで決勝戦を締めくくった。
「今年は勝てないチームかと思っていたが、試合ごとに力をつけてきた」と枦山監督。今大会全5試合を先発し、ほぼ一人で投げ抜いた空地は、2桁安打を浴びる試合も多かったが「打たれても点をやらなければいい」と開き直り、最後まで粘る投球ができるようになった。決勝戦の五、七回は、走者を背負い、一気に相手に流れが傾きかねないピンチの場面だったが、打者ごとに捕手・原口がマメにマウンドに駆け寄って間をとったり、巧みにけん制を入れて相手の出方を探ったり、打ち気をそらすなど、記録に現れない好プレーも見られるようになった。「ベンチの思いが伝わるようになって、辛抱強くなった」(枦山監督)。今大会での一番の成長は「チームがひとつにまとまり、1人1人が自分の役割をきちんと果たせるようになった」と森藤純弥主将。4年ぶりの「夏制覇」に向けて大きな自信を手にした。
鹿児島実・宮下正一監督 「チャンスにあと一本が出なかった。序盤から押され気味で気負いがあって力みがあった。相手の空地君は最後まで球威が落ちず、粘り強くベストスイングをさせてもらえなかった。(七回無死三塁の場面は)スクイズも考えたが、ビッグイニングを作ろうと欲を出してしまった。私の甘さ。でも夏はこういう場面で打てる練習をしてくる。いい悔しさをもらいました」
【決勝・鹿児島実―樟南】2回裏樟南二死一二塁、大谷の中前打で二走・宝満がホームを狙うも好返球に阻まれタッチアウト。捕手・花園

【決勝・鹿児島実―樟南】6回裏樟南一死一塁、一走・中西が二盗を試みるも好送球でタッチアウト。遊撃手・宮前

【決勝・鹿児島実―樟南】7回裏樟南一死二塁、空地の右前適時打で二走・宝満が先制のホームイン


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