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現場から(奄美新聞掲載)
「3S頼み」からの脱却
スポーツで新たな鹿児島の魅力を創造しよう

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 「鹿児島はいつまで『3S』に頼っているんだ?」
 以前、鹿児島ユナイテッドFCの前身・ヴォルカ鹿児島をJリーグに昇格させる活動をしていたKさんが東京の鹿児島県人会の人から言われた。「3S」とは「桜島」「焼酎」「西郷隆盛」のこと。鹿児島の観光の目玉といえば昔からこの3つに頼り切りで、新たな魅力を生み出せていないのではないかという厳しい指摘だった。Kさんは「これから4Sを目指します」と答えた。新たなS、「サッカー」や「スポーツ」を鹿児島の観光の目玉にしていきたいと意気込みを語っていた。





 この話は15年ほど前の出来事である。明治維新150周年、大河ドラマ「西郷どん」の放送…昨年は鹿児島観光の追い風になるような出来事が続いたが、裏を返せば「3S頼み」から脱却できていない証左でもある。151年目の今年は、新たな魅力を創造する契機にしたいところだ。

・J2昇格を起爆剤に

 鹿児島UのJ2昇格は、その起爆剤になる可能性を秘めている。ヴォルカでは叶わなかったが、紆余曲折を経てJリーグ誕生26年目にして鹿児島にもJ2の戦いがやってくる。
 今年のJ2には鹿児島Uを含む22チームが所属。2月24日の開幕から11月24日の最終節まで42試合のリーグ戦を戦う。昨季のJ3は32試合。試合数は10増えることにより、ホームゲームも5増えて21試合、開催されることになる。
 J3から2になって一番の違いは「アウエーからやってくるサポーターの数」と田仲正明さん。大阪出身の田仲さんは鹿児島Uオフィシャルカフェの店主で、Jリーグをはじめとするスポーツ観戦文化に詳しい。J3ではアウエーからやってくるサポーターは数十人程度だったが、J2に上がると「間違いなく増えてくると思う」。

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 思い返せば3年前の16年3月、鹿児島Uが初めてJ3に参入した第2節、ホーム白波スタジアムで対戦した相手が大分だった。この年、J3降格という屈辱を味わった大分は1年でのJ2復帰をかけて、並々ならぬ意気込みを示していた。鹿児島であったアウエーゲームにも、大分から大挙してサポーターが駆け付けた。この日の観衆は3920人。正確な人数は分からないが、チケットは2000枚近く大分関係で売れたという。間違いなく数も、声量も、鹿児島とは比較にならない「熱量」を感じた。
 同じ九州とはいえ、新幹線で通じている熊本や福岡と異なり、大分から鹿児島にやってくるのはかなりの労力である。それでも千人単位の人間が、自由意志ではるばる鹿児島までやって来たところに大分と鹿児島の「Jリーグ文化」の歴史の違いを感じた。
 今年のJ2にはJ1からの降格という屈辱を味わった柏や、千葉、東京V、京都などJ1経験もある名門クラブも名を連ねている。メディアの扱いもJ3は県内が中心だったが、J2では全国メディアへの露出も格段に増える。「鹿児島にもJのチームがある」ことが全国にも発信され、コアなサポーターを中心に観戦で鹿児島にやってくる人はこれまでより増えるだろうと田仲さんは予測する。

・多様な文化を知る機会に

 無論、J2に上がってホームゲームが増えるからといって、それが何億という経済効果になるにはまだまだ時間がかかるだろう。大切なのは「サッカーを通じて各地の文化を知る機会になる」点だと田仲さんは言う。
 コアなサポーターがアウエーの地にやってきてまず足を運ぶのが、カフェやスポーツバーのようなアンテナショップ。田仲さんの店でもJ3の頃からホームゲームがある前後はアウエーのサポーターがやってきて交流する場になっていた。
 昨年末、全日本少年サッカー大会があった頃、山形のサポーターと交流した。かつての庄内藩が戊辰戦争の頃、西郷によって救われたことに未だに恩義を感じているという話を興味深く聞いた。「大阪からやってきた僕が、サッカーを通じて鹿児島と山形の歴史を知る。こんな楽しいことはないですね」と田仲さんは笑顔で語る。
 サポーターが100人いれば100通りのチームやサッカーと関わってきた歴史があり、人生がある。それらをお互いに交し合うことで目に見えない人と人とのつながりが生まれ、その積み重ねが文化を生み育んでいく。そんな機会がJ2に上がることで間違いなく増えることを田仲さんは楽しみにしている。

 「桜島」の見える白波スタジアムでサッカーに一喜一憂する。夜は「焼酎」に代表される鹿児島の美味しいもので舌鼓を打ちながら、ホームとアウエーのサポーター同士の交流会などもあれば楽しそうだ。「西郷」に代表される鹿児島の歴史を少しでも感じてもらえれば、「また遊びに来たい」と思えるインパクトが与えられるのではないか?…
 バスケットボールの鹿児島レブナイズのホームゲームでも、昨年末からアルコールが解禁になった。試合の後半、レブナイズが攻撃する時間帯に「西郷どん」のオープニング曲が流れる粋な演出も始まった。「3S」の力も借りながら、近年新たに誕生した鹿児島U、レブナイズというプロチームを起爆剤にして「スポーツ」で鹿児島の新たな魅力を創造する。その活動にチームや行政が積極的に取り組むのはいうまでもないことだが、県民1人1人、自分なりのスタンスで関われることがあるはずだ。メディアの一員である筆者も、より主体的に関わっていきたい。

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テーマ:Jリーグ - ジャンル:スポーツ

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