
※管理人が奄美新聞に書いたコラムです。
瀬戸内町の嘉徳海岸は琉球諸島でも珍しい人工物のない自然の海岸だという。行ったことはないが、先日、瀬戸内町に住む知人が写真と動画を送ってくれた。手つかずの自然が集落の近くにある。人間の生活と自然が共存しているという点で、奄美が世界自然遺産として推薦される象徴のように思えた。
工事に反対し、県に対して住民監査請求を申し立てた住民や弁護団は、砂の流出は台風だけでなく、海砂採取など様々な要因が考えられ、ここ数年で回復も進んでおり、昨年の台風でも新たな浸食はなかったと主張する。アダンの植林や住民との話し合いなど工事以外の対策は時間と労力がかかる。「コンクリートが一番簡単だから、計画ありきで進めているのではないか」と渡部貴志弁護士は訴える。
人の暮らしを脅かす危険性があるなら何らかの対策は必要かもしれない。だが、果たしてそれがコンクリート護岸かどうかは、未だ検討の余地があるのではないか。コンクリート護岸によって砂浜の流出が加速し、白砂青松とたたえられた砂浜が消えていく。そんな先例は枚挙にいとまがない。一度失った自然は二度と元に戻らない。自然保護と公共事業の在り方を見直す契機ではないか。
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