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夢念夢想・第10回
「クリーニングは心を洗う」
支えられ、支えあう地域社会を
迫田立樹さん(有限会社リッシン代表取締役社長)

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 父・立身(たつみ)さんが鹿児島市原良で「さこだドライ」を創業したのは1968年。昨年で創業50周年を迎えた。家業を継ぎ1993年に業務多角化を見据え改組した際、会社名を「リッシン」としたのは立身さんに敬意を込めて名付けたものだ。
 次男だが「幼稚園の学芸会で『将来はクリーニング屋になる』と宣言した」ことを覚えている。斜陽産業と言われる業界にあって「クリーニングは人の心を洗う」を身上に技術を磨き、業界の正しい在り方を模索すると同時に、法人会をはじめとする団体や同窓会など地域貢献活動にもこれまでエネルギッシュに取り組んできた。




 私事で恐縮だが、弊社スポーツかごしま新聞社が17年11月に協賛会員の募集を始めた際、いの一番に協賛を申し出たのが迫田さんだった。「頑張っている人、困っている人がいたら、自分のできる範囲で助けあう。それが昔から鹿児島に伝わる男気でしょう」。父・立身さんの背中を見ていたら、自然とそんな考え方になっていた。

 えびの市出身の立身さんは夜学に通いながら、鹿児島市内のクリーニング店で働くトップセールスの営業マンだった。19歳で独立、1つ年下の母・則子さんと結婚。まだ昭和30年代の頃、立身さんは「全国クリーニング組合生活衛生同業組合連合会」の鹿児島県における青年部会を作る仕事を任された。頼まれたら断れない男気と人を引き付けるバイタリティーで約180人の会員を集めた。全国の組合の関係者が鹿児島にやってくれば接待し、県外の研修会などにも行く機会が多かったから全国に知り合いができた。未だに「立身さんの息子」ということでいろんな人脈が広がる。全国の情報や業界の最新動向など、鹿児島を拠点にしていても常にアンテナを張っていられるのは立身さんから築いた人脈があるからだ。

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 21歳で修業先の東京から戻り、幼稚園時代に「宣言」した通り家業を継ぐ。組合の青年部にも即入会、23歳からは法人会の青年部会に入って活動した。役職の最年少記録を塗り替え、会員拡大委員長をした頃は、会員を約180人に増やしたこともある。20代の頃からいろんな経営者と「飲みニケーション」を通じて知り合う機会があった。業界は様々だが、本業を切り盛りすることはもちろん、商店街を活性化させたり、PTA活動に熱心に取り組むなど、本業以外の地域貢献活動に熱心に取り組んでいる先達に感化され、学ぶことが多かった。

 考えてみれば両親ともPTAやあいご会など学校、地域活動にも非常に熱心だった。小1から始めたソフトボール少年団の応援にもよく来てくれた。夏祭り、十五夜相撲や妙円寺参り、五社詣りなどの地域行事には当時の西田小の子供たちはほとんどが参加し、迫田家だけでなく家族ぐるみで関わる家も多く、一大行事だった記憶がある。妙円寺参りには「ソフトの連中と夜、自転車で出発して誰が一番早く着くか競った。自転車で往復してまた翌日歩いて出かけた」ほどたくましい仲間が揃っていた。
 ソフトボールは県下でもトップクラスの強豪チームだった。6年間続けたが、城西中に上がると周りのレベルの高さに尻込みして軟式テニスに転向する。実際に野球部は全国中学総体ベスト8に入るほどの強豪だった。未だに当時の野球部のメンバーが集まって野球をする時には「野球部じゃなかった自分にも声を掛けてくれる」ことを粋に感じて、夜の懇親会に焼酎などを差し入れするようにしている。「両親もそうだったけれども、あの頃身近にいた仲間が本当に良い連中だった。今でも支えあい助け合う関係にあるのは、良い人に恵まれたおかげ」と感謝する。

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 クリーニング業界は1992年をピークに停滞傾向にあるといわれている。家庭用洗濯機や洗剤の性能が上がったことや、コインランドリーが広く普及したことなどが要因として考えられるが、一番は「ファスト・ファッションが広がったことではないか」と分析する。安価で長く着られる。着られなくなったら廃棄して新しく買い替える。そんな習慣が一般化したことが斜陽化の大きな原因ではないか。
 安価で丈夫な衣料が出回ったのは消費者にとって便利なことかもしれない。その一方で無視できないのは衣料品の大量廃棄だ。日本の衣料品の年間廃棄量は100万トンを超える。以前は日本で廃棄された衣料が途上国へリサイクルされていたが、途上国側もモノが余って要らない状態だという。埋め立て、焼却にしても環境に負荷のかかることは間違いない。本来ならマスメディアが問題点を指摘すべきだが、アパレルメーカーが巨大な広告主であることが影響しているのか、そういった問題が俎上に上がることがない。「クリーニングは本来環境に優しい業種。衣料品の大量生産、廃棄の習慣を改める。持続可能な社会形成の観点からも、気づいた人間が指摘していかなければ将来に禍根を残すことになる」と警鐘を鳴らし講演活動等にも力を注いでいる。

 クリーニングの本質は「お客様が大事にしている衣服を蘇らせる」ことにある。クリーニングして長く着たいと思う衣服には、着ている人の思い出など人生の一部が宿っている。衣服を蘇らせることは「思い出を蘇らせ、お客様の笑顔を蘇らせる」作業なのだ。技術を高めていく中で衣料に留まらず、革製品、靴やバッグなどサブアイテムの再生術も身に着けた。クリーニングという技法が伝統工芸になる日も遠からずやってくるかもしれない。

 平日の午前中はフェイスブックを開き、様々な情報発信に時間を費やす。SNSが普及し、身近な情報も地道に発信していれば見ていてくれる人がいて、それがつながりを深めたり、ひとづくりやまちづくりにつながるきっかけになる。人と人が支えあい、助け合う地域社会の中で、父から受け継いだクリーニングを生かして自分は何ができるか。新たな道を模索する日々である。

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 【メモ】さこだ・たつき。1970年1月23日生まれ。西田小、城西中、鹿児島中央高、東京クリーニング学校卒。

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テーマ:みんなに知ってもらいたい - ジャンル:日記

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