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ある一日・樟南野球部(毎月7日更新)
やるべきことを淡々と
樟南高校野球部のある一日

※月刊「トレーニングジャーナル」08年6月号掲載
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 チームの公式戦における「ある一日」を追う。樟南は鹿児島実、鹿児島商と並んで鹿児島の甲子園常連「御三家」の一角を占める名門である。2008年4月5日、春の九州高校野球鹿児島県予選準々決勝の一日に密着した。


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・調整は各自で
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 春の九州大会出場をかけた県予選。前日までにベスト8が出そろい、大会も佳境を迎えた。樟南の対戦相手は尚志館。甲子園出場はないが、07年春は準優勝して初の九州大会出場を果たし、大隅地区の強豪として着実に力をつけてきている。
 樟南ナインは学校の敷地内にある寮で共同生活を営む。試合開始予定は10時。いつも通り5時50分に起床し、7時半に学校をバスで出発した。
 第2試合以降なら学校のグラウンドで調整をすませてから球場入りするが、この日は第1試合に組まれていたので早めに球場入りして、8時過ぎから県立鴨池球場のブルペンや雨天練習場を使って、試合前のアップに入った。
 ランニング、体操、キャッチボールなどで一通り体をほぐしてから、雨天練習場で打撃練習。アップのやり方などに特別なことはしていない。「体を動かさんことには始まらんからね」。チームを率いて30年以上になるベテラン枦山智博監督は言う。アップで必要なのは、これから始まる試合に向けてしっかり体を温めて動けるようにしておくこと。大まかに言えばそれだけである。特に全員を集めてやるべきことを細かく指示はしない。この日は曇り空で、春先にしては肌寒い。いつもより「余計に動いておけ」と言うぐらいである。
 打撃練習は素振り、ティー、トス、打撃投手を使ってのフリーバッティングの4種類。ベンチ入りメンバー20人は一通りこなすが、何をどれだけやるかは各自の判断に任せてある。主将の榎本亮や五番を打つ大迫建斗はティーを多めに打った。榎本は通常のストライクゾーンよりも高めのボールを叩く練習を熱心にやっていた。「今大会はフライを打ち上げてしまうことが多かったので、上から叩いて低めのゴロを打つことを心掛けました」と榎本。大迫は「体をほぐそうと思って、いつもより多めにティーを打ちました」。
 練習中、枦山監督が具体的に指示や指導するシーンをあまりみかけなかった。マイペースで歩き回りながら、選手がやっていること遠くから、近くからじっと眺めている。「森藤、今の感じやったっどんねぇ~」。ティーバッティングをしている選手に独り言のように語り掛けていた。

・チェックは入念に
 8時50分ごろ、グラウンドに入り、再び、キャッチボールやトスバッティング、バント練習など最後の仕上げをした。
 ナインが練習している横で、枦山監督は外野の芝生を歩いている。風向きや、夜露にぬれた芝がどの程度滑るのかなどのグラウンドコンディションを確認していた。
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 第2試合以降ならできないが、朝一番の試合のときは必ず自分の目でグラウンド状態は把握するようにしている。春先の鴨池球場は、風向きも試合の趨勢に影響することがまれにある。この日はそうでもなかったが、別の日はスタンドに入りそうな打球がファールグラウンドに押し戻されたことがあった。近くにある鴨池市民球場は両翼が93メートル(※県立球場は98メートル)と狭い。春先はレフト方向に強い風が吹くことが多く、市民球場では右打者が引っ張った打球が風に乗ってスタンドインすることがまれにあるから注意が必要だ。選手が体を動かしている横で、監督もまた指揮官として必要なことを抜かりなく準備している。
 試合前のシートノックは山之口和也部長の担当。枦山監督はファールグラウンドから外野の一カ所ノックを終えると、その位置から選手の動きや打球の行方などをチェックしている。「ああしながら、じっくり戦略プランを練っているのかもしれませんよ」。ネット裏で観戦していたある野球部OBが話していた。
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・「樟南らしい」試合
 尚志館戦は初回に7点を奪い、六、七回にも集中打を浴びせて16-1でコールド勝ちだった。
 初回は、相手投手の制球難を冷静に見抜き、早打ちせず、1球でも多く投げさせて、甘い球は逃さず打つというコンセプトが徹底されていた。打者11人を送り、ヒットは短打3本だが4四球を選び、送りバントや犠牲フライも絡んで効率よく7点を挙げた。二回以降は初回に大量点を挙げた気持ちの緩みと、相手2番手投手の緩い変化球を中心とした投球を攻めあぐね、追加点を奪えなかったが、六回二死から四番・村田崇の二塁打を皮切りに4連打を浴びせて2点を加えると、七回は長打攻勢で6点を追加して試合を決めた。「監督さんの指示通り、無造作に打ちにいかず、低い打球をしっかり打ち、つなぎのバントも決まって樟南らしい野球ができました」と榎本。
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 守備では、エース辻野拓が立ち上がり先頭打者にヒットを打たれ、二回には中継プレーが乱れて1点を失ったが、ピンチになってからの集中力が光り、尻上がりに調子を上げ危なげなく守り切った。
 今大会は、初戦の出水商戦で延長15回の再試合で辛勝、3回戦の川内戦はコールド勝ちしたものの、序盤に相手打線に打ち込まれてリードを許すなど、序盤は苦戦続きだった。ここへきてようやく攻守の歯車がかみ合って大会終盤に向けての手ごたえをつかみつつある。「きょうは打線のいいチームが相手だったけど、理想的な勝ち方ができた。大会序盤は練習試合と公式戦の違いもあって、うまくいかないこともあったが、ここへきてトレーニングでやってきたことと、試合に臨む心構えとがかみ合ってきたかな」(枦山監督)

 樟南ナインの一日を追いながら、一人一人がやるべきことを淡々とこなしている姿が印象的だった。試合前の練習で、気勢を上げて気持ちを盛り上げるようなことはしていない。試合中、タイムリーやファインプレーをして派手なガッツポーズをする選手も、あまり見かけない。ミスをした選手は「すいません」とだけ監督に言って次のプレーに切り替える。
 「公式戦は、自分たちが毎日やってきたことをどれだけ発揮できるか」。常日頃、枦山監督が話していることである。「甲子園」という最終目標のためにやるべきことは何か、日々の練習の中で徹底して叩き込み、それがどの程度発揮されるのかを、公式戦で確かめる。以前、鹿実サッカー部の松澤隆司総監督はそのことを「トレーニング(T)とマッチ(M)、TMの繰り返し」と表現していた。競技は違うが強豪校の監督に通じるものなのかもしれない。

■プロフィール
 春7回、夏17回の甲子園出場回数を誇る名門校。1994年夏には福岡真一郎―田村恵のバッテリーを擁し、佐賀商に敗れて準優勝に終わるも、鹿児島勢初の甲子園決勝に勝ち進んだ。鶴岡慎也(日本ハム)青野毅(千葉ロッテ)上野弘文(広島)前田大和(阪神)ら、多数のプロ野球選手を輩出している。


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