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鹿児島Uレジェンド対談・後編
「感情が凝縮された地決決勝」・田上
「ワンチームで鹿児島を盛り上げる」・赤尾

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 鹿児島Uの田上、赤尾、レジェンド2人の対談です。かつてのライバル時代の思い出や統合に向けた流れの中で感じた想いを赤裸々に語っています。

 政
 赤尾さんはヴォルカの主将、田上さんはFCKの選手兼監督、お互いのチームをどう見ていましたか?

 赤尾 同じ鹿児島にあるライバルチームだと単純に思っていました。僕が帰ってくる前の年、ヴォルカはFCKに一度も勝てていなかったこともあって、「FCKにだけは絶対に負けられない」と周りの人にも言われていました。FCKを倒し、九州リーグを制し、地域リーグ決勝を勝ち抜いてJFLに上がるというのがモチベーションになっていました。

 田上 試合場で会っても、お互い顔も見なければ話しもしない(笑)。勝った方がJリーグに行くという気持ちで戦っていました。最初の頃は勝っていましたが、そのうちアキラが帰ってきて、井上渉、永畑祐樹といった選手がヴォルカに入って強くなる。負けて九州リーグを勝ち抜けず、地域リーグ決勝に上がれなかったら、自分の夢が終わってしまう。ダービーで負けるとこの世の終わりのようなショックを受けていました(苦笑)。特にFCKとして最後になる13年シーズンは地獄のような思いを味わっていました。




  12年末に一度両者が統合するという話が出て、破談になったことがありました。

 田上 県サッカー協会にも僕らが一度呼ばれて、統合する協議に入ったということでしたが、破談になってしまった。今まであまり人に話したことはありませんが、その年の暮れに、僕や德重さん、FCKにいたアキラと同級生の選手と一緒に、アキラと当時ヴォルカにいた山口純を呼んで、食事をして「うちに来てくれないか?」と誘ったことがありました。
 ライバルチームとして戦って勝つことも大事でしたが、何よりも大きな目的だったのはJリーグに上がること。チームとして一緒になれないのなら、中心選手の彼らを引っ張れば勝って上がれる可能性はより高くなる。ヴォルカを脅威に感じていましたし、夢の達成のためならなりふりかまっていられないと思いました。
 でもアキラは熱い漢なので「僕は(ヴォルカに)残ります」と言って、その話は実現せず、13年のシーズンが始まりました(笑)。

  13年の九州リーグは1勝1敗。地域リーグ決勝での直接対決はヴォルカが4-0で勝利。最終的なJFL昇格の権利はFCKが取る。何かうまい具合にお互いで分け合って14年からの鹿児島Uの歴史が始まった印象があります。

 田上 九州リーグは2位。全国社会人でも負けて、本来なら地域リーグ決勝にはいけなかったはずでしたが、たまたま全社で上位に入ったチームが地決に行く権利を持っていたため枠があき、そこにうまい具合に九州2位のチームが行けることになっていたので奇跡的に地決に行けたシーズンでした。

 赤尾 12年、僕が帰ってきたシーズンはFCKを蹴落として僕らが上に行くつもりで戦っていましたが、その年末に僕や山口純、FCKにいたタノさんや他の選手たち同士と話し合ったので、チームとしての統合はできなかったけれど、僕の中では「つながった」という気持ちがありました。
 13年のシーズン、前期は僕らが勝ちましたが、もう「FCKを蹴落として」という気持ちはなかったです。地決で勝って、FCKが3位でJFL昇格を決めたことに関しても、試合に勝ったり負けたりの一喜一憂はありましたが、その頃僕自身の中には「お互い一緒になってやらなかったら鹿児島からJのチームは生まれない」という気持ちの方が強かったように思います。
 変な話ですが、タノさんたちFCKが首の皮一枚で地決に勝ち残った時、「やっとこれでJFLに行ける。大きなものが動き出す」と思いました。

 田上 短い歴史でしたが、最後の「鹿児島ダービー」だという寂しさみたいなものはありましたね!

 赤尾 そうそう! 地決が終わったときに一番感じたのは「あぁ、もうこれでヴォルカ、終わりじゃん」という気持ちでしたね。来季から鹿児島Uが始まるという喜びもありましたが、これまでいろんな先輩方がこのチームに関わってきて、僕らの知らないような苦労もたくさんしてきたチームがなくなる。地決の最後でファジアーノ岡山ネクストに負けた悔しさよりもその寂しさの方が大きかった気がします。
 鹿児島Uはスターとするけれども、この中からそこにいけない選手もいる。毎年のことですがこのメンバーで、このチームでサッカーできるのはこれが最後と思うと寂しかったですね。

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 田上 あの年に新潟であった地決決勝の舞台は本当にすごかったです。僕の今までの人生の中でもいろんな感情がギュッと詰まった場所でした。4チームが総当たりで、グルージャ盛岡はJ3に行くことが決まっていた。うちとヴォルカは統合が決まっている。3つのうち2つが行けるなら、JFL昇格はほぼ決まっていたようなものです。
 それでもお互い必死になって戦ったのは、アキラが言ったようにこのチームでやれるのは最後だからという想いでした。2つが1つになれば、大幅に選手はいなくなってしまう。上がれる喜び、一緒にやれるのが最後という寂しさ、最後のダービーだから負けたくないという選手としての気持ち…いろんな感情が詰まっていましたね。

 赤尾 ヴォルカやFCKの話をすると、僕ら2人がクローズアップされますが、僕らと同等、あるいはそれ以上に苦労されたたくさんの人たちがこの両チームに関わっていたということです。だから昨年、引退を発表した時に、ヴォルカの元チームメートだった人たちから「お疲れさん」と言ってもらえたのが何より嬉しかったですね。タノさんもそうだと思いますが。

  そういう話を聞くと、お互いのチームの歴史を背負ったエネルギーが5年間という時間で鹿児島UをJ2に導いたような気がしてきます。

 赤尾 そこはタノさんの存在が大きかったと思いますよ(笑)。「Jに行くんだ!」という気持ちを前面に出して、背中でチームを引っ張って行ってくれました! プレーヤーとしてどうだったかはさておき(笑)

 田上 さておくな!(ツッコミ)

 赤尾 想いの熱さは一緒のチームになって、ずっとすごいなと思って見ていました。

 田上 ありがとうございます!

  赤尾さんは鹿児島実、田上さんは鹿児島城西、まさに鹿児島の両巨頭が一緒になったチームです。

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 赤尾 大学時代もバチバチやっていましたからね!(笑)

 田上 赤尾の第一印象は「嫌い」でしたから!(笑) 九州リーグの最後で対戦した時、僕はセンターバックだったんです。そこでアキラにマンマークでつきました。アキラにボールが入ったらガツガツ削ってでもボールを入れないようにしていました。

 赤尾 あの試合、僕らは優勝が決まっていたので、メンバーを落として戦っていましたが、ボコボコにされて0-4で負けました(笑)。

 田上 俺らは「絶対に引きずり出してやる!」と思っていました(笑)。

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  思い出話は尽きませんが、最後に今後どうしていきたいかについて教えてください。

 田上 今後は「応援リーダー」という立場で、表に出て、もっともっと多くの人に鹿児島Uを知ってもらう活動を続けていこうと思います。今、コロナ関係で大きくは動けていませんが、YouTubeや講演、様々なイベントなどにも参加して、もっと多くの人に認知してもらい、現場の選手たちが戦いやすい環境を作っていけたらいいです。鹿児島の良いところはあたたかい応援だと思うので、良いところは受け継ぎつつ、新しいものを作っていくのを見届けていきたいです。

 赤尾 熱が入っていない状態で、鹿児島に帰ってきて、なぜ熱が入るようになったかといえば、地域リーグの時代からも支えてくださった大勢の方々がいたからです。選手という立場ではなくなりましたが、そういう人たちのために頑張らなければならないという気持ちは選手のとき以上に強くなりました。今の立場は選手たちにそういった想いがあってこのチームがあることを伝えることだと考えています。
 タノさんも言うように、鹿児島の良さはサポーターのあたたかさです。そういった想いも一つになって、ラグビーじゃないですが「ワンチーム」になって鹿児島を盛り上げていきたいです。

 田上 選手も、サポーターも、このチームは人を大事にできるところが一番良いところだと思っています。在籍して途中でいなくなってしまう選手も「鹿児島って良いチームだよね」と思ってもらえるようなチームになれるように、僕もアキラもこれから頑張っていこうと思います。

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 【メモ】たのうえ・ゆたか。1986年1月12日生まれ。鹿児島市出身。鹿児島城西高、宮崎産経大卒。FC刈谷、FC琉球、FCK、鹿児島U。DF、MF。

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 【メモ】あかお・あきら。1988年2月15日生まれ。鹿児島市出身。鹿児島実高2年時に全校高校選手権優勝、3年時は準優勝。鹿屋体大卒。ガイナーレ鳥取、SC鳥取ドリームス、ヴォルカ、鹿児島U。MF。

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テーマ:Jリーグ - ジャンル:スポーツ

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