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球夏2011第16日
薩摩中央、初の決勝へ
シード鹿実から金星

神村は4年ぶり

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【準決勝・鹿児島実―薩摩中央】最後の打者を三振で打ち取り、ナインと喜び合う薩摩中央・崎山(中央)

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【準決勝・鹿屋中央―神村学園】2回表鹿屋中央一死三塁、寺園がスクイズを仕掛け、三走・杉木が本塁を狙うも好フィールディングでタッチアウト。捕手・久永

 第93回全国高校野球選手権鹿児島大会第16日は22日、鹿児島市の県立鴨池球場で準決勝2試合があり、ノーシードの薩摩中央と第2シード神村学園が決勝に勝ち進んだ。
 1点を追う薩摩中央は六回、5番原の中前適時打と押し出しで逆転し、七回には4番富満の右前適時打で2点をダメ押した。投げてはエース崎山が好投し、第1シード鹿児島実から金星を挙げて、初の決勝進出を決めた。
 第2試合は神村学園が五回、敵失と4番本田の犠飛で逆転に成功。2番手のエース久保は二回からのロングリリーフだったが、鹿屋中央の強力打線を1安打に抑える好投で、4年ぶりの決勝進出を後押しした。
 最終日は23日、同球場で午後1時5分から、薩摩中央―神村学園の決勝がある。


◇22日の結果
・準決勝(県立鴨池)
薩摩中央 4―2 鹿児島実
神村学園 4―3 鹿屋中央

◇23日の試合
・決勝(県立鴨池)
13:05 薩摩中央―神村学園

◇準決勝①
鹿児島実 001 000 010=2
薩摩中央 000 002 20×=4
(鹿)野田―黒木
(薩)崎山―富満
・本塁打 豊住(鹿)
・二塁打 黒木(鹿) ・暴投 薩1 ・捕逸 薩1 ・試合時間 1時間48分

持っているもの出し切る
街一丸で勝利を後押し
薩摩中央

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 エース崎山貴斗=写真=の渾身の1球に鹿実・杉山のバットが空を切ると、三塁側の応援席から大歓声が沸いた。薩摩町からやってきた県立高校がV候補筆頭の鹿実から金星を勝ち取った。「選手、指導者、応援が三位一体となってつかんだ勝利。子供たちが持っている力を出し切ってくれました」。統合前の宮之城から数えて23年チームを指揮する神村泰幸監督は、言葉に力を込めた。
 最大の立役者はエース崎山だ。準々決勝の伊集院戦で納得いく投球ができなかった崎山は、準決勝までの4日間を最大限に生かしてコンディションを最高に持ってきた。「相手は全員が4番のようなもの。気持ちで引かない投球をする」ことを捕手・富満祐太と話し合った。
 強力打線を封じたカギは縦の変化球。これまで使わなかったフォークを見せ球にして、得意のスライダーで打ち取る。このパターンが見事にはまって、鹿実の打者に自分のスイングをさせなかった。圧巻は六回二死三塁で野田を迎えた場面。ファールで粘られたが「崎山の直球なら打ち取れると思った」(富満)強気の直球で空振り三振に取ったことが、その裏の逆転劇の導火線になった。
 打者が心掛けたのは「チャレンジヤーの気持ち」と「野田君は確かにすごい投手だけど、振る勇気、自分から打っていく勇気を持っていく」(宮脇諒主将)ことだった。ヒットは単打のみ6本だが、うち5本を六、七回に集中し、ワンチャンスをものにして大会屈指の好左腕・野田を攻略した。
 薩摩町は「野球熱」のある街だ。宮之城中出身の富満は鹿児島市内の私学から転校して地元で再出発にかけた。同じく宮之城中出身の崎山は、鹿実をはじめとする強豪から誘いがあったのを断って地元の仲間と甲子園を目指す道を選んだ。自分の選択が正しかったかどうかが試された一戦は、尻上がりに調子を上げていき「楽しいマウンドでした」と振り返る。「街の人たちがいつも野球部を応援してくれる。スタンドの応援が本当に力になりました」と宮脇主将は感謝する。「相手はどこでも力はうちより上。チャレンジャー精神でぶつかっていくだけです」と気持ちを高めていた。

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【準決勝・鹿児島実―薩摩中央】3回表鹿実一死三塁、杉山がスクイズを決め、三走・黒木が先制のホームイン

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【準決勝・鹿児島実―薩摩中央】6回裏薩摩中央二死一、三塁、原の中前適時打で三走・小が同点のホームを踏む

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【準決勝・鹿児島実―薩摩中央】6回裏薩摩中央二死満塁、押し出しで2―1と勝ち越し、三走・富満を笑顔で迎え入れる薩摩中央ナイン

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【準決勝・鹿児島実―薩摩中央】7回裏薩摩中央二死二、三塁、富満の右前適時打で三走に続いて二走・宮脇も生還、4―1とリードする

「野球の怖さ」思い知る
鹿実

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 鹿実の春夏連続甲子園の夢は薩摩中央の気迫に阻まれた。「相手の3年生、特に崎山君の気持ちがうちを上回っていました。野球の怖さを知りました」と宮下正一監督は潔く言い切った。
 決して相手を見くびっていたわけでも、受け身になったつもりもない。野田の調子は悪くなかったし、打線も先制点は取った。強いて挙げれば「2点目を先に取らせてあげられなかったわたしの責任」と指揮官は言う。
 八回に意地のソロアーチを放った豊住康太主将=写真左=は「少し気負ったところがあったのかもしれない。その気負いを見抜いて考えた投球をした崎山君が一枚上でした」と振り返り「薩摩中央にはぜひ甲子園に行って欲しい」とエールを送っていた。

◇準決勝②
鹿屋中央 120 000 000=3
神村学園 100 120 00×=4
(鹿)戸柱、鶴ケ崎―東
(神)柿澤、久保―久永
・三塁打 杉木(鹿)岩元(神) ・二塁打 上釜(鹿)大迫(神) ・試合時間 2時間5分

【熱球譜】
「今大会一番の出来」
神村学園・久保大星投手

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 167㌢の小柄なエースが見事な「火消役」をやり遂げた。二回表、2点勝ち越された直後からのロングリリーフで、鹿屋中央の強力打線を1安打に封じ、4年ぶりの決勝進出に貢献。「今大会で一番良い投球ができました」と自信をのぞかせていた。
 予定外のリリーフ登板だったが「準備はできていた」。最初の打者にいきなりスクイズを仕掛けられたが「(スクイズが)来ると思っていたので対応できた」好フィールディングで、追加点を許さなかった。三回以降は、直球を軸に、縦に落ちるスプリット、カットボール、スライダーなどを丁寧に出し入れして相手に狙い球を絞らせなかった。
 「背番号1の自覚が出てきた」と捕手の久永純也は言う。「気持ちの入り方が違う。マウンドに上がったら自分の仕事をきっちりこなさなきゃという気持ちになる」と久保は1番の重みをそう自覚している。山本常夫監督は「140㌔の直球はないけど、135㌔の直球を速く見せる術を持っている。準々決勝では樟南を4安打、きょうは鹿屋中央を1安打に抑えた。すごい男ですよ」とエースの頑張りをたたえていた。

「1つのミス」を悔やむ
鹿屋中央

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 鹿屋中央の遊撃手・寺園真吾は五回の同点に追いつかれた自らのエラーがどうしても心に引っ掛かる。一死二、三塁の場面で、飛び出した二塁走者が目に入り、打球から一瞬目がそれた。グラブからこぼれたボールをすぐさま一塁へ送球したが間に合わず、三塁走者が生還した。「ミスにもしていい場面といけない場面がある。あそこは絶対しちゃいけない場面だった」。
 「大隅から甲子園」を掲げる鹿屋中央は伝統的に強力打線と好投手を擁し、戦力的には甲子園に行ってもおかしくない力を秘めているが、守りのミスなどで足元をすくわれることがこれまで度々あった。この夏に向けては「相当守備を鍛えてきました」と山本信也監督。大会2週間前の追い込みの時期には「内野は1日1人1000本くらいノックを受けた」と寺園は言う。背番号は4だが、6の重吉が送球に難があるのを考慮し、大会1週間前に思い切ってコンバート。準々決勝まで失策1と安定した守りで勝ち上がることができた。ただ、あの五回の場面だけは「先に点は取ったけど相手打線が強力なので気持ちが守りに入って、思い切ったプレーができなかったのかもしれない」と山本監督も残念そうに振り返った。
 結果的には1つのミスが勝敗を分けたが、鹿屋中央の守備がほころんだわけではない。交錯しながらも打球を落とさなかった二塁手・下園正、三遊間の深いゴロも難なくさばいた寺園、ライナーに飛びついた一塁手・鳥越、途中出場の右翼手・愛甲=写真右=もファールフライの打球をダイビングキャッチしてチームを盛り上げた。NHK旗で同じ神村相手に2―14の大敗から、ここまで競ることができたのは、守備力の向上があったからだ。「NHK旗のコールド負けからスタートだったけど選手1人1人がよく成長してくれた」と指揮官は選手をたたえていた。


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【準決勝・鹿屋中央―神村学園】1回表鹿屋中央二死一、三塁、鳥越が先制の中前適時打を放つ

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【準決勝・鹿屋中央―神村学園】1回裏神村一死二塁、坂口の適時打で二走・白澤が同点のホームイン

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【準決勝・鹿屋中央―神村学園】2回表鹿屋中央一死二、三塁、杉木が右越え三塁打を放ち、三走に続いて二走・戸柱も生還、3-1とリードを広げる

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【準決勝・鹿屋中央―神村学園】5回裏神村一死一、三塁、4番本田の犠飛で4-3と勝ち越す
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テーマ:高校野球 - ジャンル:スポーツ

コメント
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2011/08/01(月) 13:26:45 | | #[ 編集]
Re: はじめまして
この日の鹿実について私が書いたのはこの原稿だけです。無論、文字にできなかったこともいろいろありますが…
2011/08/01(月) 19:01:06 | URL | 政純一郎 #-[ 編集]
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2011/08/01(月) 21:46:54 | | #[ 編集]
Re: ありがとうございます。
メッセージ、ありがとうございます。この文章を読んでから、私もあの試合を鹿実の視点からもっと詳しく取材して書いてみたいと思うようになりました。もう少ししたら鹿実や薩摩中央の選手や監督さんに話を聞いて、あの「世紀の番狂わせ」が何だったのかを再現してみたいと思います。
2011/08/02(火) 03:15:33 | URL | 政純一郎 #-[ 編集]
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2011/08/05(金) 11:27:51 | | #[ 編集]
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