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コラム「年中夢求」第8回
I,m proud of you―相手を誇りに思うこと
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 先日、テレビを見ていたら、なでしこジャパンの澤穂希が7月のワールドカップを振り返っていた。
 劇的なPK勝ちで世界最強のアメリカを下し、日本が世界を制した。試合の後でアメリカの中心選手だったワンバックが澤に近づき、こんな言葉をかけた。
 「I,m proud of you」(あなたを誇りに思う)
 これを聞いた澤は「試合には勝ったけど、(ワンバックには)人として負けた」と思ったという。
 心が震えるような感動が私を貫いた。スポーツの奥にある本質を見事に言い表していると思ったからだ。
 人は誰かと争いたい気持ちを本能で持っている。それが最悪の形で発露するのが「戦争」だ。愚かなことだと誰もが分かっているのに、有史以来人類は戦争を繰り返し、多くの悲劇が生まれた。最近、NHKで日露戦争を描いた「坂の上の雲」が放送されている。戦闘のシーンでは、銃弾一発でいとも簡単にかけがえのないはずの人の命が次々と失われていく様が、リアルに再現されている。日本人にも、ロシア人にも、画面では次々に倒れていく1人1人に家族がいて、愛があって、生きてきた人生が、有無を言わさず消えていく。2度と繰り返してはならないとみんな思っているはずなのに21世紀の現在も戦争は無くなっていない。
 「スポーツ」は人間の持つ闘争心に「ルール」を設け、誰もが楽しめるようにと昇華した人類の英知だ。考えてみれば、たかだか、ボールをけり合って相手ゴールに入れる数を競い合うだけの「遊び」が、時に「国と国の威信をかけた戦争だ」とも表現されるとは何とも微笑ましい話ではないか。試合中は、相手を「ぶっ殺してやりたい」と思うほど闘争心を高めて戦っていたのに、そんな相手を「誇りに思える」とは何と素敵なことではないか。
 
 「敵も味方も信頼してなきゃ、プレーできない」
 あるラグビー選手が、ラグビーの魅力は何かと聞かれて、そう答えた。スクラムを組んだり、タックルしたり、球技と格闘技の両方の要素を持つラグビーは一歩間違えば大けがにつながりかねないプレーがある。「味方」だけでなく「敵」をも信頼していないと戦えない。そこがラグビーの魅力なのだと彼は言う。「遊び」を本当に楽しむためには、「敵」でさえも信頼し、尊敬し、お互いを高め合う関係を築く。それはラグビーに限らずスポーツが根源的に持つ魅力の一つだろう。「スポーツ」は人間の闘争本能を極めた最高の「遊び」である。
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テーマ:日々のつれづれ - ジャンル:日記

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