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コラム「年中夢求」第11回
「好循環」の仕組み作りを
2020年鹿児島国体に向けて

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 2012年度の県予算の中で、国体に向けての「競技力向上対策事業」として約1億7千万円が計上された。8年後に開催が予定されている鹿児島国体に向けて、本格的な強化策に取り組むことになる。今年度の「競技スポーツ強化対策事業」が約8500万円だったから、新年度からは競技力向上に対する予算は倍増する。国体に向けて施設整備なども進めていくことが予算に盛り込まれており、県のスポーツ界にとっては歓迎すべきことではある。だが、これが「国体のため」だけで終わってしまうのか、「県のスポーツ振興を目指すため」のものなのか、「手段」と「目的」を取り違えることがあってはならない。

 2月13日には第1回の県のスポーツ推進審議会があった。県のスポーツ振興策について有識者から意見を聞く会で、南日本新聞によると、鹿児島国体に向けて、県が7月に策定を目指す競技力向上計画について意見交換があったという。その中で「鹿児島は社会人選手が少ない分、中高生頼みになる。指導教員の適正配置が必要」という意見に着目してもらいたい。今の鹿児島のスポーツ界の現状と課題が、この一言に集約されている。
 現在の鹿児島の国体成績は中高生の少年種目に支えられている。成年種目の実業団、学生選手が極端に少ない。例を挙げれば、1月の都道府県対抗女子駅伝のチームは毎年「全国で一番平均年齢が若いチーム」と表現される。00年に京セラ陸上部が国分を撤退して以来、県内にはトップ選手を受け入れる実業団がなくなり、県外に出た大学生か「ふるさと選手」に頼るしかない。県内の選手では、中高校生を中心にチーム編成を組まざるを得ない現状が垣間見える。
 ジュニア強化の重要性は否定しないが、真に鹿児島のスポーツ振興を考えるなら、今の最重要課題は「中高生頼み」から脱却することではないか。
 では現実にそこから脱却するために、どのような方法が考えられるだろうか。そうなってしまう大きな要因に、選手が育った先の「受け皿」がないことが挙げられる。教員の採用は少子化で今や「狭き門」となり、優秀な選手を抱えるだけの体力がある実業団も少ない。いわば「学校頼み」「企業頼み」だった日本のスポーツ界の構造そのものを見直す取り組みが求められる。
 文部科学省は、今年度から「元気な日本スポーツ立国プロジェクト」を策定した。トップアスリートの強化に取り組むと同時に、彼らの技術や経験を学校や地域のクラブなどに還元し、新たな人材を発掘する「人材の好循環」を生み出すことを事業目的で謳っている。
 県内では、陸上競技を中心とした総合型スポーツクラブであるNPO法人SCCが委託を受けて、この中の「スポーツコミュニティー形成促進事業」に取り組んでいる。具体的にはトップアスリートを学校体育や、スポーツクラブの指導者として派遣している。トップアスリートの「セカンドキャリア」を生かす突破口の一つだが、今のところ3年間の期間限定事業であり、1回の派遣につき「謝金」を払う形態で、安定した「雇用」とまではいってない。
 8年後の国体を真にスポーツ振興のための大会とするなら、競技力向上の施策も「人材の好循環」を生み出す方法を考えるべきだろう。SCCの太田敬介理事長は「今頑張っている中高生たちが、大人になって『鹿児島の国体に出てみたい』と夢を持てるような大会にして欲しい」と訴える。8年間の準備期間で鹿児島がその道筋を作ることができれば、日本のスポーツ界の「構造改革」の先駆者になれるだろう。県の取り組みに今後も着目していきたい。

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真にスポーツ振興を目指すために必要なのは「人材の好循環」を生み出すこと。写真はレノヴァ鹿児島が1月に高校3年生を対象に開いた練習会の様子

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