FC2ブログ
NPO法人スポーツかごしま新聞社オフィシャルサイト

ギャラリーショッピング
鹿実VS薩摩中央―「番狂わせ」の真実・第13回
食中毒からのスタート
120404番狂わせ_035
薩摩中央は09年秋、準々決勝で鹿児島商を破り、学校創立以来初の県大会4強入りを果たした

 「このチームはそもそも食中毒がスタートだったんです」
 神村は言う。8月、新チーム最初の遠征で甲子園研修に行った際、宿泊した施設で食中毒にかかってしまった。茨の船出であったことは確かだが「ああいうアクシデントがあったことで、子供たちも保護者もみんな一つになろうという気持ちが芽生えたと思いますよ」と保護者会長の前園光彦は言う。


 食中毒という「アクシデント」はあったが、新チーム最初の公式戦となる8月末の北薩地区大会では優勝することができた。地区大会の優勝校は、秋の県大会のシード権がもらえる。ところがシード校として臨んだ秋の県大会は初戦、鹿児島情報と対戦し、五回まで1―0とリードしていたにも関わらず、雨のためノーゲーム。翌日の再試合では0―10でまさかの五回コールド負けだった。一冬を越えて、心機一転臨んだはずの春も、初戦はコールド勝ちしたが3回戦で松陽の2年生左腕の森岡修一を打てずに、1―3で惜敗した。
 秋や春にベスト8、ベスト4、準優勝などの「実績」を残していれば、「じゃぁ夏はもっと上を」と「欲」が出てくる。秋は初戦コールド負け、春は3回戦敗退では実績からくる「欲」の持ちようがなかった。

 夏の大会の抽選会は6月18日にあった。抽選を引いた宮脇は前述したように軽い失望を感じた。できれば序盤は組みやすい相手と当たって、勝ち星を1つ、2つと積み上げて、勢いをつけて上位に勝ち進めればと思っていたが、1回戦を勝っても次の相手が春の県大会準優勝、九州大会出場の第4シード鹿城西では、序盤から全力でいかない限り、勝ち上がることは難しい。
 ところが「みんなに話したら『最高の場所を引いたね』って言ってくれた。それで先のことを考えることなく、まずは初戦の串良商戦という気持ちになって、良いかたちで大会に入れたのが大きかったと思います」。宮脇はそう振り返った。

 抽選会当日は土曜日で、チームは週末を利用して熊本に遠征に出掛けていた。ルーテル学院と試合をする予定だったが、雨で流れた。試合はできなかったが、その夜、抽選会から戻った宮脇も加わって宿舎でミーティングをした。1年生から3年生まで、女子マネジャーも加えた39人、1人1人がこの夏に対する想いを語った。
 「このままでは終われない」
 エースの崎山貴斗はそう語った。崎山にとっては新チームになってからの1年は屈辱の日々だった。1年秋の県大会では準々決勝で鹿児島商を破り、ベスト4と実績を残したことがある。崎山以外にも1つ上の学年のチームを経験しているメンバーが多く、自分たちの代では結果を残そうと頑張ってきたつもりだったのが、秋、春と不本意な結果に終わった。その雪辱を晴らせるのはこの夏しかない。それまで漠然とそう思っていたことを、仲間の前で言葉に出して語ったことで、明確な「目標」になった。
 「秋も春も勝てていないから自分たちは弱い。だからチャレンジャーの気持ちで大会に臨むことができた」
 4番で捕手の富満祐太が言う。この1年、望む結果は得られてないけど、最後の夏は先のことを考えずに一戦一戦に全力を尽くす。そんな気持ちをチーム39人が共有できたのがこの夜のミーティングだった。
(続く)
スポンサーサイト



テーマ:野球 - ジャンル:スポーツ

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://spokago.blog68.fc2.com/tb.php/607-5674b9d5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック