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鹿実VS薩摩中央―「番狂わせ」の真実・第15回
万全のコンディション作り
120411薩摩中央準優勝_035

 準々決勝の試合があったのは日曜日。翌18日は海の日の振替え休日だった。この日は午前中、学校に出てきて軽めの練習をした。雨が降っていたので武道館でストレッチと、バドミントンのシャトルを使って打撃練習をした程度である。「ダラダラすごすのは嫌だったので身体を慣らす程度のことしかしていません」(神村)。この日は準々決勝の残り2試合が組まれていたが、雨で順延になった。当然、神村の頭の中では19日が準々決勝2試合、20日は休養日と2日間空いて21日が試合のつもりで、コンディション作りを考える。ところが翌19日も台風接近で試合が順延になった。

 19日を完全休養日にすることを、神村が決めたのはその日の朝だった。
 「指導者は貧乏性ですからね。やり残したことはいくらでも出てくるんですよ。火曜日が流れたことで、あと2日練習ができる。だったら思い切ってリフレッシュしようと決めたんです」
 選手たちは普通に授業に出て、夕方から練習のつもりでいたが、これを急きょ取りやめて完全オフにした。大会期間中、何もしない一日を設けるのは、指導者にとってはある意味勇気のいることである。無論、ハードなトレーニングをすることはないが、コンディションを整えたり、調子を維持したり、試合の前にできることがあれば、すべてやっておきたいと考える。勝つか、負けるかは分からないが、「やるべきことはやり切った」手応えだけは持って試合に臨みたい。19日の時点で残り2日なら、練習をしようと思っていたが、更に1日伸びたことで「残り2日あればやれる」と神村は完全オフを決めた。

 「崎山を何とか休ませたかったんですよ」と神村は言う。エース崎山は今大会、3回戦を除く4試合を先発している。準々決勝の伊集院戦は五回コールドだったが、縦の変化球を見極められ、6四死球を出し、110球投げている。「最初はしっかりリードしていたんですが、後ろで鹿実の偵察隊がビデオを撮っていて、点差もあったので僕がリードをめちゃくちゃにしちゃったんです。崎山には悪いことをしました」と捕手・富満。「疲労を抜くこと」「気持ちを切り替えること」が崎山のこの4日間のテーマだった。神村には「しっかりコンディション調整さえできれば、崎山はしっかりやってくれる」という信頼があった。
 ストレッチや柔軟体操など、コンディショニングに必要なメニューをやって身体を整える一方で、メンタル的には「大会中のいつも通りじゃなくて、自分が今までで一番良い時のイメージを思い出そうとしていました」(崎山)。この1年間で一番良かったのは、新チーム最初の遠征で育英(兵庫)と対戦した時のピッチング。生命線である低めの制球が抜群で、甲子園出場経験もある強豪校に2―1で競り勝った試合のことを頭で描いていた。
 鹿実の打者1人1人への対策は、バッテリー2人だけで話し合った。「練習試合では、不用意な配球をして打たれた時とかに厳しく指導はしますけれど、そうやっていろいろなことを身につけているわけですから、大会中はほとんどバッテリーに任せています」と神村。打者1人1人にどんな配球をしようとしたのか、詳細は覚えていないが「1人1人が他のチームの4番みたいなもの。打たれて当たり前ぐらいの気持ちで、思い切り攻めていこう」が2人の出した結論だった。具体的な配球のポイントは「内角をどれだけ突けるか」(富満)である。崎山の持ち味は最速130㌔台の直球と、切れのあるスライダー。強打者を相手にするとき、打者から一番遠い外角低めで勝負するのはオーソドックスなリードだが、それだけでは狙い球を絞られて打たれる。奇策で少しだけ練習していたフォークを見せ球に使うことも考えたが、結局大事な場面では使っていない。鹿実の強打者にどれだけ勇気をもって内角を突けるかどうか。自分たちのベストを尽くした上で、そこが勝負の分かれ道だと2人は考えた。

 1日オフにした後の20、21日は、いつも通り授業に出て夕方、軽めの練習で汗を流した。メニューは打撃練習がほとんど。3年生で背番号をもらっていない左腕の毎床元気らが打撃投手を務めた。この1年間、鹿情報、松陽と左腕の好投手のいるチームに敗れており、左腕対策は夏の大きなカギだった。
 毎床は6月にベンチ入りできないと分かってからは、チームの裏方として「少しでもチームのために自分が貢献できることをしたい」と打撃投手を買って出た。2時間近い打撃練習の間、毎日500球近くを投げ込んだ。今大会は串良商、鹿城西、伊集院と左腕の好投手のいるチームに勝ってきており、神村は毎床ら裏方の支えを試合後の勝因に挙げていた。伊集院戦で4安打4打点と大活躍した西之園拓馬は「打てたのは毎床のおかげです。左投手の軌道が見えやすくなった」と試合後のインタビューで答えている。鹿実戦に向けて毎床は「少しでも野田君の球に近づけるように最高の球を練習で投げたい」と意気込んでいた。
 そんな裏方の心意気を感じながら、各打者が練習で心掛けていたのは左投手の投球に対して身体を開かずにセンターを中心に逆方向に打つこと。エンドランの練習を何度かやった。欲を言えばきりがないが、やれることはやりきった手ごたえを持って試合に臨むことはできた。

 「きょうはどうですかね?」
 「どうやったら勝てますかね?」
 「それが分かったら、僕が高校野球の監督をしてますよ!(笑)」

 試合開始、約1時間ぐらい前だったか。三塁側の薩摩中央ベンチ前で私は監督とそんな会話を交わした。その時の印象は、気負っているのでも、緊張しているのでも、ましてやあきらめているわけでもない。リラックスして本番を迎えようとしている雰囲気を感じた。
 「今年の鹿実に対して左投手ならまだしも、あれだけ左の強打者を持っているチームに対してどうやったら勝てるのかというのは、他のチームも同じ思いだったでしょう。『いろいろ情報を知っている記者さんの方がむしろ詳しいんじゃないですか?』って気持ちでした(笑)。
 うちは崎山のスライダーがどこまで通用するかがポイント。そもそも僕が焦っていたら、選手にも動揺が伝わる。あくまで自然体で、競ったゲームに持ち込めば勝機が見えるかもと思っていました」

神村は当時の心境をそう解説した。
(続く)
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テーマ:野球 - ジャンル:スポーツ

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2012/05/05(土) 19:51:40 | オリンピック総合コーチが教えるバドミントン上達法