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スポーツコラム「年中夢求」第17回
鹿児島・プロスポーツの課題-メディアができること
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 サッカーの九州リーグを制したFC鹿児島が、JFL参入を目指す地域リーグ決勝大会に進出するも1次リーグで敗退し、来季のJFL昇格は残念ながら果たせなかった。
 翌日の南日本新聞に記事が出ていた。
 「『鹿児島からJリーグチームを』と叫ばれ始めて約20年。なぜ、下部のJFLさえ生み出せないのか。本気でJリーグを望むなら、FC鹿児島やライバルのヴォルカ鹿児島だけでなく、県サッカー協会、経済界、サポーター、メディア、『支援』を約束した伊藤祐一郎知事にいたるまでが一丸となり、必要なことを実行する時期に来ている」
 取材した記者の切実な想いが伝わってくる。ではメディアの立場で「必要なこと」は何か、私もその一員として考えてみたい。

 その日の南日本新聞のスポーツ面を見開いてみると、鹿児島にサッカーをはじめとするプロスポーツが浸透していない現状が如実に出ている。FC鹿児島の記事と同じ日にあった全国高校サッカー選手権県予選決勝の記事が並んでいる。「プロ」を目指すチームの記事は面の右肩トップ扱いではあるが白黒写真、一方、高校サッカーの記事は左肩トップのカラー写真でスペースも倍近くとっている。ちなみに同じ日のバスケットボールのレノヴァ鹿児島の記事は、カラー面だがトップ扱いですらない。高校弓道の下にあったから、この面では3番目の扱いだ。
 私も新聞の人間だから、南日本新聞がこういうニュース扱いをした理由は分かる。現時点での「県民読者の注目度」を判断の基準にして、そうなってしまうのだろう。「プロ」よりも「高校生」の注目度が高く、紙面の扱いが大きくなってしまうところに、私は鹿児島のスポーツ界の克服すべき課題をみる。

 その前日に、国分であった高校サッカーの準決勝を取材した。あいにくの雨にも関わらず、上の多目的広場駐車場は満車で、路上駐車や違法駐車を呼び掛ける場内アナウンスがひっきりなしに流れていた。会場に入るためには入場料が要るが、会場を見下ろせる道路沿いにも立ち見客が出るほどの盛況ぶりだった。違法駐車などのマナー違反は論外だが、それだけ人が見たいと思わせるものが高校サッカーにあるということだろう。何を隠そう、私も鹿児島実と神村学園の試合が純粋に見てみたくて、大雨で途中高速を走るのが怖くなるリスクを乗り越えて(?)、国分まで足を運んだ。
 一方、同じ日の夕方のレノヴァの公式戦があった姶良の会場は、幸か不幸か駐車場も空いていて楽に車が停められた。観客も決して多いとはいえない。バスケットとサッカーの違いはあるが、プロスポーツよりも高校スポーツが人を集めてしまう。本来ならこれは逆か、両方盛り上がればなお良いのが理想なはず。これもまた鹿児島のスポーツ界が今後克服すべき課題の一つではないか。

 高校スポーツの感動を否定するつもりはない。そもそも鹿児島でスポーツを扱おうと思ったら高校生を中心とした「アマチュアスポーツ」しか、これまで鹿児島に存在しなかった。しかし、時代は変わり、学校体育、企業スポーツで支えられてきた日本のスポーツ界の在り方そのものが転換期に来ている。Jリーグの誕生で、「地域密着」を謳ったクラブチームが全国各地にでき、スポーツがスポーツとして自立する道を模索している。
 全国でも屈指のJリーガー輩出数を誇る鹿児島だが、前述の南日本新聞の記事のように、Jリーグの下部であるJFLにすらチームがない現状をどう考えるか。レノヴァの会場でMCなどを務め、スポーツの普及に積極的に取り組んでいるMBCの岡田祐介アナウンサーは「鹿島に大迫勇也が行くと決まった時に、多くの県民が喜んだ。もっと残念がる人がいていいのではないか?」と話していた。大迫は4年前の全国高校サッカー選手権で準優勝した鹿児島城西のエースストライカー。そういう選手は都会に出て行って遠くからその活躍を眺めることを鹿児島の人たちは、あまりにも当たり前にし過ぎていないか。そういう選手が鹿児島で活躍できる場を作ることをこれから考えていくべきではないかという意見だ。
 Jリーガーを数多く輩出しているということは裏を返せば、優秀な人材の輩出県でしかないということである。考えてみればもったいない話だ。そういう選手たちの活躍の場を鹿児島に作ることで、人を呼び、ものやお金が動き、何より鹿児島の人たちの誇りとなるものをみんなで作っていこうとメッセージを発信することは、メディアの役割であると私は考える。

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 今季からレノヴァのオフィシャルスポンサーになった米盛病院の米盛公治理事長は、レノヴァに関わることで、スポーツ整形の分野を充実させ、スポーツと医療が協力して新しい地域貢献のかたちを産み出そうとしている。「人やものが集まらないところに文化は産まれない」と説く。そういう活動を紹介することで、私にも地域スポーツに何か関われることがあるという人が1人でも増えてくれたらと想いを込めて、記事を書いた。
 メディアに何ができるか。この問いの「正解」は今のところない。ただ、できると思ったことを実行することが今何より大事なことだと思う。2020年に鹿児島国体が控えており、これからの8年間は鹿児島スポーツ界全体にとって正念場になる。今回のFC鹿児島がJFLに昇格できなかったのは残念なことだが、これもひとつのきっかけにして、鹿児島の人たちがもっと身近なスポーツに関心を持ち、その中から楽しみや生きがいを見出せるような仕掛けを、FC鹿児島やレノヴァ鹿児島はどんどん発信してもらいたい。その活動を私は積極的に伝えていきたいと思う。

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テーマ:サッカー - ジャンル:スポーツ

コメント
この記事へのコメント
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2012/11/21(水) 12:37:29 | | #[ 編集]
いいねぇ~
2012/11/22(木) 02:36:49 | URL | 山口孝志穂 #mQop/nM.[ 編集]
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