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スポーツコラム「年中夢求」第19回
「失われた10年」を繰り返さないために
「考えよう 鹿児島とサッカー」に参加して

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 FC鹿児島とヴォルカ鹿児島の統合問題に端を発して、「考えよう 鹿児島とサッカー」と題して、両チームサポーター同士の討論会が12月15日にあった。チームの合併にはどんな意味があるのか? これからの鹿児島とチームはどう関わっていけば良いのか?…さまざまなテーマで両サポーター約20人が白熱した議論を交わした。全国屈指のJリーガー輩出県でありながら、未だ地元にはJの下のJFLさえない鹿児島だが、FC、ヴォルカ、双方とも、数は決して多いとは言えないが、それぞれのクラブに愛情と誇りを持ち、サッカーと鹿児島を熱く語るサポーターがいて、「本物のスポーツ文化」が根付き始めていることを実感できた素晴らしい会だった。

 私も「メディアの立場から見た合併問題」として問題提起をした。そもそも、なぜこれほど優秀な人材を送り出せるほどの底力がありながら、地元にJがないのか? いろいろな理由が考えられるが、私は2003年に大きなキーポイントがあったと考える。ヴォルカに鹿児島実出身のJリーガー前田浩二氏を選手兼監督で招へいし、本格的な強化を始めた。この時、当時の山崎亨・県サッカー協会理事長らの主導で「スポネット鹿児島」というNPO法人を立ち上げたのだが、ここに大きな落とし穴があった。
 スポネットとは、地域サッカー文化の発展を謳い、その業務の一環としてヴォルカの運営などマネジメント業務を請け負う団体だった。ところが、コアなヴォルカのファンでさえ、その意味や位置付けが理解できないほど、難解な組織だった。当然、プロ選手を抱えるチームの活動を維持できるほどの資金が集まるはずもなく、スポネットは05年に解散。前田氏もチームを離れた。
 このときの負債を処理し、ヴォルカ運営母体の法人化を目指して、鹿実サッカー部の松澤隆司氏を議長とする「ヴォルカ評議会」が立ち上がった。負債処理の目途は立つも、法人化は見送られ、評議会も07年で解散。10年にようやく株式会社・KAPSヴォルカ鹿児島として法人化するも、遅きに失した感は否めない。
 03年の時点で、ヴォルカ運営母体を法人化=株式会社化して、情熱と覚悟と責任を明確にして取り組んでいれば、結果は違っていたかもしれない。法人化したからといって、うまくいくとは限らないが、少なくとも「誰が責任を持って運営をしているのか」顔の見える組織にはなっていただろう。「鹿児島からJを」の夢や理想はあっても、それを具体的に実現するマネジメントができなかったことに、鹿児島サッカー界にとって痛恨の「失われた10年」を作った要因があると私は考える。また私も含めて、この時点でその問題点を指摘するメディアもなかった。

 今、両チームの統合が取り沙汰されている。12月25日までに来季の九州リーグ登録期限があり、近日中に何らかの結論が出るだろう。しかし、スタートの時点で運営する側が覚悟と責任を明確にしなかったら、今度こそ2度と立ち直れないほどのダメージを負いかねない。
 仮に統合したとすれば、これまでよりも資金を集めることや行政の支援などは、受けやすくはなる。両チームの良いところを合わせて、更に強力な新戦力を加えることも可能になる。これまで「どちらか一方を応援するわけにはいかないから」と二の足を踏んでいた企業や団体も、いくらかお金を出してくれるかもしれない。
 だが、それはあくまで「ご祝儀」のようなものである。本当に大切なのは活動を「継続する」こと。「失われた10年」に意味があるとしたら、その反面教師になったということだ。統合する、しないに関わらず、13年シーズンは九州リーグからのスタートであり、ここでJFLに上がれたとしても、Jに到達するには最短で2年を要する。仮にJに上がったら毎年億単位の運営費をどうやってねん出し続けるか? 運営する側は、この問題から目を背けてはならない。

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 「僕らはどちらでも、構わない。でも合併して今までやってきた地域密着の理念がなくなるなら、チームにいる意味がない」
 会の前日の14日、宇宿商店街の忘年会に参加したFCのFW谷口堅三はそう語った。FCは発足当初から宇宿商店街と協力し、街のイベントなどに積極的に参加していた。ヴォルカは、今年7月に伊佐市と「まちづくりに関する協定」を結んだ。選手が市内でサッカー教室をしたり、九州リーグ公式戦の会場で伊佐市の特産品販売をするなどの協力関係を築いた。こういった「草の根運動」にこそ、地域に根差すプロスポーツの原点があることを、今後の運営に携わる人たちは忘れてはならない。

 合併の是非は両チーム運営の責任者が決めることなので、それに口をはさもうとは思わない。私個人はそこで出た結論を支持する。どちらにしても、今後の運営は、理念を明確にして世に訴え、情熱と、責任と、覚悟を決めてマネジメントに取り組み、今度こそ真の意味で鹿児島の誇りとなるプロになって欲しいと願うのみである。
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テーマ:Jリーグ - ジャンル:スポーツ

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