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サブスリーチャレンジ日記・第18回
10回目の菜の花・下~試練の後半戦
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※レース中最も過酷だった28㌔付近の苦悶の表情。写真提供はSCCの太田さん

2013年1月13、14日
 ところが、大きな「試練」が後半に待っていました。
 「風」です。開聞岳方向に向かう頃は、レースを走って初めて「追い風」を感じるほどだった風が後半に入ると、かなりきつい向かい風になりました。ただでさえ上り坂のきつい終盤にかなりの痛手ですが、上りは体力を温存するために楽に、下りは体力を回復させるために楽に走ることを心掛けました。

 23㌔付近で、ふと胸元を見ると、ゼッケンを止めていた上2つのピンが外れています。下も外れて記録の計測ができなくなったら元も子もないので、初めて立ち止まって、沿道で応援している人に図々しく付け直してもらうようお願いしました。ずっと降りしきっていた雨の影響で、手袋をしていても手が利かなくなっていました。止まるのは痛手でしたが、後半に向けて体力を回復させ、気分をリフレッシュするのに良いかもと切り替えました。
 実際、少し休んでからあとはまた前半のように軽快な走りが戻ってきかけたのですが、最大の試練が26-28㌔付近で待っていました。ちょうど山川の砂蒸し温泉の手前付近で強烈な向かい風に見舞われました。この10年近くいろんなロードレースを走りましたが、あんなにきつい向かい風は初めてでした。両ふくらはぎ、内腿がつりかけ、右脚は痙攣しかかって、何だか自分の脚ではないかのような嫌な感覚がしました。

 「神様、僕はこのような試練を受けなければいけないほど、何か悪いことをしたのでしょうか?」

 柄にもなく信心深くなって泣き言をいいそうになるくらい、苦しかったです。今思えば前半の疲れに加えて、風と雨とで冷やされて、身体がおかしくなったのかもしれません。30㌔のラップは2時間11分と設定より5分遅れました。残り12・195㌔。4分ペースなら何とかサブスリーですが、もうそんな余裕はありません。記録はどうあれ、とにかく最後まで走り切ることに目標を変えました。

 力を入れて走ると一気に壊れてしまいそうな感じがしたので、軽くジョッグのつもりで走りました。エイドステーションで給水したり、チョコレートや氷砂糖を食べている間は立ち止まって体力の回復に努めました。山川港から最後の難所の上り坂を終え、温泉街の直線を走る頃は気力も体力もほとんど残っていませんでした。39㌔付近で3時間を超えたように記憶していますが、悔しさを感じる余裕もなく、ひたすら前進して1秒で早くゴールすることだけを考えていました。

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 競技場に入り、ラスト100mのところで、スタート時に会話した同級生のM君が声を掛けてくれました。スタート以降姿を見ませんでしたが、最後の最後で追いついたようです。何とも言えない感動が沸き起こって、最後のアドレナリンが爆発し、M君より先着して一気にゴールへ駆け込みました(※写真提供・レノヴァファンのくーさん)。タイムは3時間17分35秒、総合順位は19747人中163位、30代男子では3670人中65位でした。最大の目標だったサブスリーは達成できませんでしたが、3年前の自己ベストを1分11秒、昨年の記録を11分6秒縮めることはできました。SCC参加者の中ではトップでした。
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 これまで菜の花で10回、ハーフマラソンなども含めてこの10年間でいろんな大会に出ましたが、間違いなく今までで一番過酷なレースコンディションでした。「去年のボンタンほどきついコンディションはない」と気楽に構えていましたが、きつさはあのボンタン以上のものがありました。記録証には午前9時時点の気象コンディションが、「天候・雨 気温・13度、風速1・2m」とありますが、これは発着点の陸上競技場のものです。一番きつかった26-28㌔付近はおおげさじゃなく10m以上の風が吹いていたような気がします。

 ゴールしてしばらく休むと、体力も回復したので、帰ってくる仲間たちの応援に向かいました。ちょうどワンセグで都道府県女子駅伝を見ていた竹内コーチや飯山コーチが、鹿児島の1区を走ったSCC出身の「上原美幸が区間賞!」と興奮気味に話していました。
 競技場入り口付近に立っていると、救急車がひっきりなしに走ってきます。あまりの寒さのため低体温症になった人が多かったようです。途中でリタイアする人も多く、回収車はフル稼働だったようです。温泉行きのシャトルバスを運行する予定でしたが、回収車に回すため、バスの運行を中止しますと場内アナウンスが話していました。ゴールして顔面蒼白で震えているランナーを大勢見かけました。

 このコンディションを考えると、サブスリーにはまだまだ及びませんでしたが、1分少々とはいえ自己ベストを縮められただけでも評価しなければと思いました。それを支えてくれたのは間違いなく、毎度のことですが沿道の声援です。
 池田湖から開聞岳に向かう途中の坂道は、レース後にいつも泊めていただく野球部後輩の家族の方々がいました。レース中初めて会った顔見知りになぜか興奮して、大声を挙げて気合を入れました。「最高の走り」をしていた14㌔付近ではSCCの武田さん、枚聞神社では高校の同級生のTさんに会いました。寒い中、見ず知らずのランナーのゼッケンをつけ直してくれたおじさんにも感謝です。あれをしていなかったら、間違いなくあの一番風のきつかったところでゼッケンが吹っ飛ばされていたことでしょう。そのポイントではSCCの太田理事長がカメラを構えていてくださいました。30㌔付近にはその後輩の家族があたたかいハーブティーを用意してくれました。あれがなかったら、後半脚が本当にぶっ壊れていたかもしれません。山川港で野上さんに会った時には間違いなく感激で泣いていました。競技場入り口で雨の中ずっと立っていた竹内コーチ、飯山コーチにはこれまでの指導の感謝の気持ちで一杯でした。最後に追いついたM君のおかげで最高の感動でフィニッシュすることができました。顔見知りかどうかに関係なく、沿道の「頑張れ!」が「エンジン」を燃やす「ガソリン」になりました。
 この雨の中、様々なサポートをしてくださった指宿のスタッフの方々にも感謝です。あれだけの過酷なレースは、走っている選手だけでなくスタッフも大変だったことと思います。不測の事態が起きないか、心配も尽きなかったと思います。ご苦労様でした。

 レース後、指宿の温泉につかった瞬間は、地獄から天国に生還したような安堵感で満たされました。夜は山川の後輩の実家に泊めていただき、恒例の新年会で心行くまで飲み、語り合いました。本当に苦しい一日でしたが、素晴らしい2013年のスタートを切ることができました。
 少し落ち着くと、サブスリーできなかった悔しさが沸いてきました。前半が1時間28分でしたから、後半は1時間50分近くまで落ちた計算になります。過酷な悪条件もありますが、基本的には前半のスピードを維持するだけの体力がまだなかったと思います。この1年間、あれだけ練習していろんなことを準備したのに、自己ベスト1分ちょっとしか縮まなかったとは、それだけ「菜の花」のレースには底知れない力があることを感じました。来年こそは菜の花でサブスリーをしたいと新たな誓いをしました。

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 翌日帰宅して真っ先にしたのは、ドロドロに汚れたシューズの掃除と、ウエアの洗濯でした。過酷なレースを一緒に戦ってくれた「仲間」に感謝の気持ちを込めました。何よりあのコンディションの中で、壊れずにすぐに回復して日常生活には何の支障もなくいてくれる自分の脚に心から「お疲れ様」といたわる気持ちが沸いてきました。
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テーマ:陸上競技 - ジャンル:スポーツ

コメント
この記事へのコメント
すごいですね(^3^)/~☆
本当にすご~いです。(*^3(*^o^*)お疲れ様でした(^o^)記事見て感動しました。本当、いろんな方のサポート素晴らしい。そして、それに、感謝する、政さんが!素敵です(^^)v
2013/01/15(火) 09:36:56 | URL | ラフママ #VfTOhorA[ 編集]
Re: すごいですね(^3^)/~☆
ラフママさん、いつも応援ありがとうございます!
2013/01/17(木) 18:04:15 | URL | つかさ #-[ 編集]
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